現地ルポ インドIT、5つの新常識
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水 達哉=日経クロステック/日経コンピュータ
2025.08.07
出典:日経クロステック、2025年6月19日
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
IT大国として知られるインド。これまでは日米欧などに比べて安価なIT人材をアウトソーシングで活用するなど、インド国外の「外需」に労働力で応えるといった観点で注目されてきた。ただ、近年はそれだけでなくなってきた。インドの経済成長に伴い、インド国内の産業や消費を支える情報システムやそのインフラなど、ITの巨大な「内需」市場としての魅力も高まりつつあるのだ。
インドが日本を抜き世界4位に、そして3年後には米中に次ぐ世界3位の経済大国に――。国際通貨基金(IMF)が2025年4月に発表した世界経済見通しによると、インドの2025年の名目GDP(国内総生産)の推計値は4兆1870億ドル。日本の4兆1864億ドルをわずかに上回り、世界で4位に浮上する。さらに2028年には、ドイツの名目GDPを追い抜く見通しだ。
インド、日本、ドイツの名目GDP
(出所:IMFの資料を基に日経クロステック作成)
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急速に成長するインド市場を狙い、日本のITベンダーも内需ビジネスの開拓に乗り出している。日立製作所は金融事業を、NTTデータグループはデータセンター事業を、それぞれグループ会社を通じて展開している。
インド決済市場トップシェア、知られざる日立の金融事業
インド南部、ベンガルールの街角で軽食を販売する露天商。一見デジタルとは無縁に見えるこの露店の店先にも、当たり前のようにコード決済用のQRコードが設置されている。実はこの決済処理の裏側に、日立の技術が使われている。店舗の決済処理を中継するサービスを、日立のインド子会社である日立ペイメントサービスが構築・運用している。
インドの露天商
(写真:日経クロステック)
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日立ペイメントは、現金とキャッシュレス決済の両面でインドに不可欠な存在となっている。同社がインドで管理する銀行ATMは6万8000台以上でトップシェア。POS(販売時点情報管理)事業も拡大しており、運用するPOS端末は250万台以上でこちらも最大手だ。
2019年1月には、インド最大手の国営商業銀行であるインドステイト銀行と合弁会社を設立した。日立ペイメントは、POSの加盟店開拓を手掛けるインドステイト銀行の子会社へ約26%を出資し合弁会社とした。この合弁会社により、POSの顧客企業を開拓し運用台数を拡大している。POS関連事業の一環として、クレジットカードブランドの加盟店を開拓し決済処理を取り次ぐアクワイアリング事業にも進出した。
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