ドイツ政府は、防衛、エネルギー、重要鉱物資源などの戦略分野を支援するため、1000億ユーロ(約17兆1000億円)規模の投資基金を創設する準備を進めている。
基金は「ドイチュラントフォンド(ドイツ・ファンド)」と名付けられ、官民連携による資金拡充を目指し、ベンチャーキャピタルやファミリーオフィスなどの国際的投資家を呼び込む構想だ。
ドイツ経済省がブルームバーグに対し明らかにしたところによると、当初少なくとも100億ユーロの公的資金を拠出し、その後、最大でその10倍に相当する民間資金を呼び込むことを目指す。
経済省は「ドイツ・ファンドは、民間のドイツおよび欧州の投資家と連携し、成長、イノベーション、競争力の分野への投資に活用される」と説明。「民間資本は、経済が直面する大きな課題を乗り越える上での重要なてこだ」と強調した。
ファンド創設は、2年連続の景気後退から脱し経済を立て直そうとするメルツ政権の成長戦略の一環だ。
ロシアによるウクライナ侵攻、トランプ米大統領による貿易戦争、中国の強硬な外交政策といった地政学的リスクの高まりを背景に、ドイツ政府が重要なサプライチェーンの安全確保に乗り出していることも反映している。

経済省によれば、ドイツ・ファンドに充てる政府資金の原資については、財務省および政府系開発銀行であるドイツ復興金融公庫(KfW)との間で協議が続いているという。ファンドの構造や投資戦略、開始時期には言及がなかった。
計画に詳しい関係者によると、メルツ首相がこのプロジェクトを承認し、クリングバイル財務相の支持も得た後、議会の夏季休会明け後9月か10月に正式に始動する見通しだという。
ドイツ・ファンドの中核分野として有力視されているのがエネルギーインフラだ。政府は国内の送電事業者に出資しているが、さらにオランダ系企業テネットのドイツ資産などの取得を検討している。国内の送電網に対する国家の関与を強化することが目的だ。
防衛産業も焦点で、政府は仏独合弁の防衛企業KNDSの特定少数株式(ブロッキングマイノリティー)取得に向けた交渉を進めているほか、ティッセンクルップの潜水艦部門への出資についても協議を行ってきたという。
また、国内の防衛系スタートアップ企業への小規模かつ初期段階の投資も、ファンドのポートフォリオに組み込まれる予定だ。
関係者によれば、ショルツ前政権下で重要鉱物資源プロジクトへの投資を目的に設立された原材料ファンドも、新設されるドイツ・ファンドに統合される見通しだという。
原題:Germany Readies €100 Billion Fund to Invest in Strategic Assets(抜粋)

WACOCA: People, Life, Style.