tebu-Ride PASSの実証実験が香川県小豆島で開始
JTBと日立製作所は、デジタルチケットによる新たな周遊企画券サービス「tebu-Ride PASS(テブライドパス)」の実証実験を、香川県小豆島で8月1日~10月31日に実施している。
ビーコン(近距離無線通信技術)と顔認証技術を利用して、高速艇、バス、タクシーなど異なる交通機関の利用や観光施設への入場、売店での購入などを、専用アプリ「tebu-Ride PASS」をインストールしたスマートフォンだけで完結。旅行者の移動をスムーズにするとともに、事後決済方式の採用で旅行中の支払を簡素化。また、利用額に応じた割引制度も提供することで付加価値を向上させる。これにより、地域の魅力向上、観光事業者の省力化や生産性向上、観光客の利便性向上を目指すという。
実証実験には交通事業者3社、観光施設7か所が参加して8月1日~10月31日の期間で行なう
対応施設には、このようなステッカーが貼られている
実証実験で利用するtebu-Ride PASSアプリは、開発中のためiOS用のみの提供だが、iPhoneを持っている人なら誰でも参加できる。今後、本格運用開始時にはAndroid用アプリも用意するという。なお、今回の実証事件では観光客1000人程度の利用を想定している。
サービスは、iPhoneに専用アプリ「tebu-Ride PASSアプリ」をインストールして利用する
tebu-Ride PASSアプリをダウンロードし、ユーザー情報と顔情報、クレジットカード情報を登録するだけで利用可能となる
tebu-Ride PASSでの交通機関の利用や観光施設への入場、商品を購入する場合の利用方法は、「見せ券方式」と「顔認証方式」の2種類を用意。
見せ券方式は、tebu-Ride PASSアプリに表示される見せ券を示すだけで、交通機関の利用や施設への入場が可能で、あらかじめ利用金額が決まっている交通機関や観光施設で採用。対応する交通機関と観光施設は、高松港と土庄港を結ぶ小豆島フェリーの高速艇と、小豆島オリーブバスの田ノ浦映画村線、二十四の瞳映画村および岬の分教場。
顔認証方式は、文字どおり顔認証で決済を行なう方式で、利用金額が決まっていない交通機関や観光施設で採用。こちらでは、決済時にtebu-Ride PASSアプリは利用せず、交通機関や観光施設に用意したタブレットで利用者の顔を読み取って運賃や購入商品などの決済を行なう。顔認証方式に対応する交通機関と観光施設は、小豆島交通のタクシー、小豆島オリーブ園のオリーブショップ、小豆島大観音。
利用額に応じた割引きは、今回の実証実験では、1登録ユーザーあたり累計上限1000円、1決済あたり上限300円の範囲内で、路線バスの運賃以外の支払いに対して最大10%の値引きを行なう。
見せ券方式では、tebu-Ride PASSアプリに表示される見せ券を提示することで交通機関や施設への入場が可能
顔認証方式では、施設側に用意したタブレットで顔認証を行ない、運賃や購入商品の決済を行なうどちらの方法も非常に手軽に利用できる
今回、実際に見せ券方式で利用できる路線バスの乗車と高速艇の乗船、二十四の瞳映画村への入場、顔認証方式で利用できる小豆島オリーブ園のオリーブショップでの商品購入を体験した。
路線バスの乗車では、tebu-Ride PASSアプリで乗車バス停と下車バス停が正しく認識され、スムーズな乗車が可能だった。小豆島オリーブバスは交通系ICカードでの運賃精算も可能なため、交通系ICカードの利用と比べるとそこまで大きな利便性向上ではないが、家族やグループで乗車する際に1台のスマートフォンで全員分の支払いが完了するのは便利だ。
小豆島オリーブバスは交通系ICカードも利用できるが、複数人数の運賃を一度に精算できるのはtebu-Ride PASSの大きな利点
高速艇の乗船では乗船券を購入せず乗船できるのが大きな利点だ。
通常、高速艇の乗船券は港の窓口で購入するが、その窓口が行き先ごとに異なっているため、初訪問ではどの窓口で購入すればいいのか分かりづらい。また、実証実験期間中のうち8月31日までと10月3日以降は瀬戸内国際芸術祭の開催期間と重なる。その期間は高速艇を利用する観光客が大幅に増え、窓口が混雑して乗船券の購入にかなりの時間がかかることもある。しかも乗船券は基本的に現金決済だ。
それに対しtebu-Ride PASSなら、乗船券を購入せず直接乗船でき、決済も登録したクレジットカードとなるため、大きく利便性が高まるはずだ。
高速艇の乗船券販売窓口は複数ありどこで購入すればいいのか分かりづらいのと、繁忙期には待ち時間が長くなるが、tebu-Ride PASSなら乗船券を購入することなく高速艇に乗船できるため、大きく利便性が高まる
二十四の瞳映画村への入場も、tebu-Ride PASSの見せ券を示すだけで簡単に入場できた。当日はそこまで入場券販売窓口が混んでいなかったが、ピーク時には入場券を購入するためにかなあり時間を要する場合もあるはず。そういった場合でも、入場券を購入せずスムーズに入場できる点はありがたい。
二十四の瞳映画村の入場券窓口は2か所のみで、こちらも繁忙期には待ち時間ができるが、tebu-Ride PASSならチケット購入不要で入場でき便利
小豆島オリーブ園のオリーブショップでの顔認証を利用したお土産購入も、見せ券方式とは違う意味で便利に感じた。
こちらは施設に用意されている専用のタブレットで顔認証を行なうため、スマートフォンを取り出してtebu-Ride PASSアプリの画面を提示する手間がない。また、顔認証自体もタブレットに顔を映せばほぼ瞬時に認証が完了。その後、PINを入力する必要はあるが、それ以外はほぼ操作不要。財布やスマートフォンを取り出すことなく決済が行なえるのは、体験すると想像以上に快適だ。
今回のサービスは実証実験で、利用できる人はiPhoneユーザーのみ、施設も限られているが、体験した限りでは、利便性の高さや割引きが受けられるお得さはかなり魅力的だ。期間中に小豆島を訪れる機会があるなら、積極的な利用をお勧めしたい。
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