5日は群馬県伊勢崎市で気温が41.8度を観測し、国内最高を更新するなど、関東などで経験したことのないような暑さになりました。
6日も危険な暑さが続く見込みで、熱中症対策を徹底してください。

気象庁によりますと、5日の関東甲信は高気圧に覆われて晴れるとともに山越えの暖かい風が吹きおろす「フェーン現象」の影響も加わり、内陸などで経験したことのないような記録的な暑さになりました。

日中の最高気温は
▽群馬県伊勢崎市で41.8度を観測し、国内の過去最高を更新したほか
▽埼玉県鳩山町で41.4度
▽前橋市で41度ちょうど
▽茨城県古河市で40.6度
▽東京・青梅市で40.4度
▽栃木県佐野市で40.2度などと
14の観測点で40度以上を観測しました。

6日も危険な暑さが続き、日中の最高気温は
▽甲府市で39度
▽前橋市と埼玉県熊谷市、神奈川県小田原市で38度
▽東京の都心とさいたま市で37度
▽横浜市で36度などと予想されています。

熱中症の危険性が極めて高くなるとして、▽茨城県、▽栃木県、▽群馬県、▽埼玉県、▽東京23区と多摩地域、伊豆諸島、▽千葉県、▽神奈川県、▽山梨県に熱中症警戒アラートが発表されています。

エアコンを適切に使用するなど涼しい環境で過ごすほか、水分や塩分を補給するとともに、屋外での作業ではこまめに休憩をとるなど、熱中症への対策を徹底してください。

一方、6日にかけて大気の状態が非常に不安定になる見込みで、6日昼すぎから夜にかけては1時間に50ミリの非常に激しい雨が降るおそれがあります。

気象庁は、低い土地の浸水や土砂災害、川の増水に十分注意し、落雷や竜巻などの激しい突風、それにひょうにも注意するよう呼びかけています。

【群馬 伊勢崎や桐生では】
気温が41.8度を観測して国内の過去最高を更新した群馬県伊勢崎市では強い日ざしが降り注ぎ、タオルやシャツで汗をぬぐう人の姿が見られました。

市内に住む30代の男性は「暑さが尋常じゃないです。全身が熱気に包まれていて夏バテになりそうです。まさか伊勢崎が日本一を記録するとは思わなかったのですが、ここ最近は暑かったので納得かなと思います」と話していたほか、駅を訪れた20代の男性も「氷をたくさん入れた水筒を持ちあるくようにしていて、喉が乾く前に水分補給をするように心がけています」と話していました。

また、桐生市でも41.2度を観測し、市内に住む60代の男性は「異常な暑さです。群馬県は暑いところが多いのですが、まさか桐生がこのような暑さにさらされるとは思っていなかったです。はやく昔のように涼しくなってほしいです」と話していたほか、市内の高校に通う1年生の男子生徒も「いつもより温度が高いので、息を吸うときにのどの奥が熱くなるような感覚があります。水分をとって、熱中症に気をつけたいと思います」と話していました。

【八王子 初めて40度超える】
各地で40度以上を観測する中、都内の八王子市でも午後2時前に初めて40度を超える40.3度を観測しました。

八王子駅前では日傘を差したり、手持ちの扇風機を顔に当てたりして暑さをのしぐ人の姿が見られました。

市内に住む79歳の男性は「20年余り住んでいるが感じたことのない暑さで、風もふだんよりぬるいです。趣味のジョギングもこの暑さではできないので、室内で体を動かそうと思います」と話していました。

町田市から買い物で訪れた82歳の女性は「感じたことのない、尋常じゃない暑さです。お金はかかるが、家ではエアコンを多用してこの暑さをしのぎたい」と話していました。

また、駅の近くにはミストを発生させる装置が2機設置されていて、ミストに当たっていた小金井市の55歳の男性は「あまりの暑さで体の内側に熱がこもってしまい、涼しい電車に乗っても30分ほど汗がひきませんでした。ミストがあると暑さの感じ方が全然違うので、もっと多くの場所に設置してほしい」と話していました。

【千葉 熱中症疑いでの救急車出動要請が増加】
この暑さで、千葉市の消防では熱中症が疑われるケースでの救急車の出動要請が増えていて連日、対応に追われています。

千葉市内は5日も厳しい暑さとなり、日中の最高気温は34.8度と猛暑日に迫りました。

千葉市中央区にある千葉市消防局の指令センターには「屋外で作業中に足をつった」とか「高齢者が家で倒れている」といった熱中症が疑われるケースの通報が相次いで寄せられていました。

千葉市消防局によりますと、5日午前0時から午後2時までの救急車の出動件数は122件にのぼり、一日の出動件数としては先月以降、最多のペースだということです。

千葉市消防局の坂本剛救急課長補佐は「暑くて救急出動が増えている。熱中症は予防が大切です。こまめな水分補給を続けてもらい、意識障害がある場合はすぐに119番通報をしてほしい」と話しています。

【熱中症 専門家「患者は一人暮らしの高齢者多い」】
熱中症に詳しい日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野、横堀將司教授は「救急搬送されてくる患者は一人暮らしの高齢者が多い。エアコンを使わず窓を開けて扇風機を使っていたケースや、エアコンが壊れていて温度を十分下げられなかったケースなどもあった。暑さは年々厳しくなっているので、これまでエアコンを使わずに過ごせていたとしても今は適切に使わないと熱中症になってしまう」と危機感を示しました。

そのうえで日常生活での注意点について、「自宅で過ごす中で2、3日かけて徐々に症状が悪化してしまうケースもあるので、一人暮らしの高齢者には家族などがこまめに連絡を取って様子をみることが大切だ。水分が十分とれないとか、呼びかけても反応が鈍いといった場合は速やかに医療機関を受診するようにしてほしい。もし40度を超えるような発熱やけいれんがある場合は救急車を呼んでほしい」と呼びかけていました。

【栃木 佐野で40.2度】
日中の最高気温が40.2度と危険な暑さとなった栃木県佐野市。

県内でも特に気温が高くなる地域で、JR佐野駅前に設置されている気温を知らせる電光掲示板には、午後2時すぎ40度と表示されていました。

付近を歩く人たちは強い日ざしの中、日傘や帽子で対策をしながら暑さをしのいでいました。

市内に住む40代の女性は「屋内も冷房が効かないくらい暑いです。保冷剤を入れた手ぬぐいを首に巻いて暑さをしのいでいます」と話していました。

また、東京都から訪れた60代の男性は「お風呂の中に入っているみたいに暑いです。どこか涼しいところで一杯飲みたいです」と話していました。

【動物たちも暑さ対策 宇都宮動物園】
日中の気温が37.5度まで上がった宇都宮市にある宇都宮動物園では、猛暑の中でも動物たちに少しでも快適に過ごしてもらおうと対策を進めています。

この動物園では、ライオンやキリンなど合わせておよそ70種類の動物が飼育されています。

このうち、屋外に設置されたおりの中にいる動物には、おりの上の部分に板や布をかぶせて、日陰を作って涼んでもらう工夫を凝らしています。

また、動物たちの体温を下げるため、クマには、好物だという「ハチミツ」を混ぜて作った氷を与えているほか、モルモットがいるケージには保冷剤が置かれていて、モルモットはさっそく上に乗って気持ちよさそうに涼んでいました。

動物園によりますと、動物の体調に少しでも変化があれば、獣医師に診てもらうようにしているということです。

宇都宮動物園の荒井賢治園長は「動物たちが暑さに負けないよう飼育するのが私たちの仕事なので、健康面では大きなトラブルが出ないように対応しています。水浴びをする動物たちは良い表情をしているので、夏にしか見られない姿を、ぜひ見に来てほしいです」と話していました。

【暑さの背景 “気圧配置と西風によるフェーン現象”】
5日は群馬県伊勢崎市で41.8度を観測し、国内最高を更新しただけでなく、40度以上を観測したのは14地点と、一日で観測した地点数として最も多くなっています。
これほどの暑さになった背景として、気象庁は気圧配置と西風によるフェーン現象を挙げています。

ここ数日、日本付近は太平洋高気圧に覆われていて、さらに今シーズンは、大陸の上空にあるチベット高気圧が強まって張り出しているため、日本付近は2つの高気圧に覆われている状況にあります。

また、5日は低気圧や前線が本州の北側にあり、太平洋高気圧の縁を回るような形で関東に向かって西寄りの風が吹き付けました。

その結果、関東の上空およそ1500メートルの気温は平年よりおよそ6度も高く、25度となりました。

これを地上気温に換算すると、この時点で40度近い暑さとなる計算になります。

さらに、地形の条件も重なりました。

関東の西側の山を越えて吹きおろすことで気温が上がる「フェーン現象」によって、内陸部を中心に、地表付近の気温はさらに高くなったと考えられるということです。

6日も各地で危険な暑さが予想されているほか、湿度も高い見込みで、気象庁は熱中症に十分な対策を取るよう呼びかけています。

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