ニューヨークのショー会場で、1970年代半ば 写真提供:森英恵事務所

島根県立石見美術館は9月20日〜12月1日、開館20周年記念企画展として“生誕100年森英恵 ヴァイタル・タイプ”を開催する。島根県出身のファッションデザイナー森英恵の生誕100年を記念した没後初の展覧会で、オートクチュールのドレスや写真、資料など約400点を展示する。孫娘でモデルの森星が登壇するスペシャルトークや縫製のワークショップなどの体験型プログラムも実施予定だ。

同展は、森英恵の生き方とものづくりの哲学を5つのセクションに分けて紹介する。“ヴァイタル・タイプ”とは、森が1961年に雑誌「装苑」で提唱した快活で努力を惜しまない人物像のことで、森自身の姿と重なるものだった。

森英恵 《赤い花柄の男性用アロハシャツ(映画『狂った果実』衣装)》 1956年、島根県立石見美術館 撮影: 小川真輝

森英恵 《デイドレス(映画「地球40度線 赤道を駈ける男」衣装)》 1968年、ハナヱ・モリ、島根県立石見美術館 撮影: 小川真輝

森英恵 《イヴニングコート、ドレス》 1968年、ハナヱ・モリ、島根県立石見美術館 撮影: 小川真輝

森英恵 《ジャンプスーツ、カフタン「菊のパジャマドレス」》 1966年、ハナヱ・モリ、島根県立石見美術館 撮影: 小川真輝

森英恵 《ガウンドレス、ストール》 1972-73年、ハナヱ・モリ 撮影: 小川真輝

四季ファブリックハウス 、テキスタイル「波と牡丹と木星」、1975年 撮影: 小川真輝

森英恵 《カクテルドレス》 1982年春夏、HANAE MORI HAUTE COUTURE 撮影:小川真輝

森英恵 《イヴニングアンサンブル》 1977年秋冬、HANAE MORI HAUTE COUTURE 撮影:小川真輝

森英恵 《イヴニングドレス》 2002年春夏、HANAE MORI HAUTE COUTURE 撮影:小川真輝

奈良原一高(衣装: 森英恵、モデル:松本弘子)《墨染めのイヴニングドレス》 1967年 写真提供: 森英恵事務所 ©️Narahara Ikko Archives

森英恵 《ブランドラベル、帯地のコート》 1964年、ハナヱ・モリ、島根県立石見美術館 撮影: 小川真輝

森英恵 《ハナヱ・モリ バンロン・コレクション》 1969-70年代、ヴィヴィド、島根県立石見美術館 撮影: 小川真輝

展示品は、森が手掛けた1950〜60年代の映画衣装をはじめ、アジア人初のパリ・オートクチュール組合正会員となった森による1977〜2002年のコレクションからの作品などを含む。また、森がオリジナルで制作した日本の絹織物にも焦点を当て、新たに発見された布の原画や試し刷りも展示する。

森英恵《イヴニングアンサンブル》1965–67年、ハナヱ・モリ、メトロポリタン美術館、ニューヨーク、1984年 ダイアナ・ヴリーランド寄贈 (1984.607.6a–c) © The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource, NY

アートディレクション: 横尾忠則、『流行通信』 No.195 1980年4月号、島根県立石見美術館

奈良原一高《森 英恵 ファッション・デザイナー 「ハナエ・モリ」ビルのショーウィンドー <肖像の風景>より》1982年、島根県立美術館 ©️Narahara Ikko Archives

さらに、米ニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されているドレスを初めて出品するほか、雑誌「流行通信」や現在も続くテレビ番組「ファッション通信」などの森が構築したファッションの情報基盤についても紹介する。

なお、同展は東京にも巡回する予定だ。

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関連プログラムを多数実施

10月4日には、森星が森英恵の素顔について語るスペシャルトークを開催。11月15日には、縫製技術を間近で見学し、実際に体験できるワークショップを実施する。講師には藤平昌代が参加する。

展覧会開催に合わせ、訪日外国人向けにアートと地域文化を繋げる旅を提案するプランも準備中だ。森英恵の色彩感覚を育んだ故郷の自然を追体験する茶摘み体験プログラムや、石見の伝統工芸品、石州和紙工房の見学や石見神楽鑑賞などを組み合わせたプランを用意する。

イベント概要
◾️生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ

日程:9月20日〜12月1日
休館日:火曜日(9月23日は開館)、9月24日
時間:9:30〜18:30
場所:島根県立石見美術館
住所:島根県益田市有明町5-15 島根県芸術文化センターグラントワ内
観覧料:当日券1300円、大学生600円/前売券1100円、大学生500円(高校生以下無料)

◾️スペシャルトーク

日程:10月4日
時間:14:00〜15:30
場所:グラントワ大ホール
ゲスト:森星

◾️スペシャルワークショップ オートクチュールの縫いに挑戦

日程:11月15日
時間:14:00〜16:00
場所:グラントワ講義室
講師:藤平昌代

◾️開館20周年感謝祭 きんさいデー

日程:10月12日
時間:10:00〜14:30
場所:グラントワ全館

◾️ワークショップ 日本の布でしおりを作ろう!

日程:10月12日
時間:10:00〜15:00
場所:美術館ロビー
参加費:無料

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