財政悪化懸念による金利上昇が予想され、福祉予算の切り詰めは格差拡大や公共サービスの質低下を招き、ポピュリズム勢力の伸張につながりかねない。
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ドイツの代表的な株価指数DAXが、史上最高値を更新している。けん引するのは軍需関連株だ。戦車や火砲、防空システムなどの製造を手がける防衛大手ラインメタルの株価は年初来で3倍に急騰している。2度の世界大戦を引き起こした反省から、ドイツは従来、安全保障分野での貢献に消極的だった。ドイツ軍の装備は老朽化が進み、即応性の改善や装備充足が長年の課題だった。
だが、ウクライナ支援に消極的なトランプ米大統領の再登板を受け、ドイツは防衛費の増額やウクライナ支援の強化を加速している。財政支援の均衡化を基本法(憲法)で義務づける「債務ブレーキ」の改正に踏み切り、6月に閣議決定した2025年度の補正予算では巨額の防衛費を計上した。財政規律をかたくなに守ってきたドイツが大幅な財政拡張路線にかじを切ったことで、株式市場は沸き、景気回復期待が高まった。
民間投資を抑制
他の欧州諸国もドイツに追随する。欧州を取り巻く安全保障環境の変化を受け、…
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週刊エコノミスト
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