映画 アイム・スティル・ヒア
コパカバーナやイパネマほど知られてはいないが、レブロンは、リオ・デ・ジャネイロでも指折りのビーチだ。柔らかな白砂と青く澄んだ海が人々を迎える。「アイム・スティル・ヒア」は、そこから始まる。
パイヴァ一家は、歩いてビーチに出られる場所に住んでいる。夫のルーベンス(セルトン・メロ)は、元議員の建築家だ。妻エウニセ(フェルナンダ・トーレス)との間には5人の子供がいる。娘が4人と、息子が1人。上は10代後半で、下は小学生。ゆったりとして快適そうな家には、書物や絵画やレコードも多い。居心地がよさそうだ。
1970年のブラジルを再現したこの背景描写が、まず観客の眼を惹く。一見、幸せそうな一家だが、64年、クーデタによって軍事政権が誕生した際、ルーベンスは自発的に国外へ亡命し、わりと最近、帰国したばかりだ。国外に拠点を置く反体制勢力とは、いまも連絡を取り合っているらしい。
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週刊エコノミスト
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