トヨタ自動車東日本 岩手工場のカローライベントで発表された、2月のラリー開催

 7月27日、トヨタ自動車東日本岩手工場(岩手県胆沢郡金ケ崎町)において、同工場でのカローラクロス生産開始もあり、カローラのファンイベントが開催された。このファンイベントで岩手県知事 達増拓也氏から発表されたのが、岩手県における2026年2月のTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ開催。冬の岩手でラリーを開催するというのだ。

 達増知事はその際に、「昨年(2024年)4月、岩手工場でのLBXお披露目式に参加されたトヨタの豊田章男会長が、岩手出身のドライバー佐々木雅弘さんと一緒にLBXで岩手の道をドライブされ、『岩手には走りたくなる素晴らしい景色がある』と、高い評価をいただいたことが契機となりました」と語るとともに、佐々木雅弘選手が発起人であると紹介していた。

2026年2月に岩手でラリーチャレンジを初開催することを発表した岩手県知事 達増拓也氏(中央)。写真は2024年4月、岩手工場でのLBXお披露目式のもの

 佐々木選手はスーパー耐久ではルーキーレーシングのドライバーとしてGRヤリスでモリゾウ選手(豊田章男会長)とともに戦っているほか、ラリーチャレンジにはFRのGR86で参戦。華麗なドリフトでステージを戦う姿が印象的なドライバー。

 GRヤリスの開発ドライバーでもあり、GRヤリスの開発スタッフによるとデフへのこだわりが強く、市販GRヤリスのセッティングには佐々木選手のコメントが色濃く反映されているという。

 その佐々木選手に、開催のきっかけやラリーの見どころを聞くことができたので、ここにお届けする。

モリゾウさんがすぐに「じゃあ一緒にやろう」と背中を押してくださった

──岩手県でのラリーチャレンジ初開催に関して、達増知事はLBXのラインオフイベントでの佐々木選手とモリゾウさん(トヨタ自動車 豊田章男会長)がきっかけと語っていました。具体的にはどのようなやり取りがきっかけになったのでしょう。

佐々木雅弘選手:実はあの時、モリゾウさんに「僕の地元・岩手でもぜひラリーをやりたいんです」と思い切ってお願いしたんです。岩手には自然も道も素晴らしい環境が揃っていて、『道がクルマを鍛える』って意味でも、絶対にモータースポーツで盛り上げられると思っていました。それを聞いたモリゾウさんがすぐに「じゃあ一緒にやろう」と背中を押してくださって、そこから話が具体的に動き出しました。

──佐々木選手は地元岩手県出身のレーシングドライバーですが、ラリーチャレンジの開催が岩手で実際に決まったことに関してどのような思いですか?

佐々木雅弘選手:本当にうれしいです。子どものころに育った地元の道で、そして僕が腕を磨いた道で、全国のラリーファンに走りを見てもらえるというのは夢のようです。岩手は雪や山道など多彩な表情を持つ地域なので、モータースポーツにぴったりの場所。そこでラリーチャレンジが開催されるのは、岩手の魅力を再発見してもらえる大きなチャンスだと思っています。

──映像の中で佐々木選手は「内緒ですが」と言いつつ、小岩井農場がスペシャルステージの一つになることを明かしていました。小岩井農場ではどのような戦いが見られると思っていますか?

佐々木雅弘選手:小岩井農場は普段は観光や酪農で知られる場所ですが、実際に走ってみると景色も路面の変化も本当に面白いんです。観客のみなさんもアクセスしやすいので、ラリーの迫力を間近で感じてもらえる特別なステージになると思います。自然に囲まれた中での走りは、他の地域ではなかなか味わえないものになるはずです。

──2月のラリーチャレンジ開催となると、雪のステージが予想されます。現在、佐々木選手の参戦車はFRのGR86なのですが、FRで参戦されることについて思いがあれば教えてください。

佐々木雅弘選手:僕は雪道のFRで腕を鍛えてきました。しかしFRは簡単ではありません。でも、だからこそチャレンジする価値がありますし、見てくださる方にとっても面白い戦いになると思っています。僕自身もFRの特性を活かした走りにこだわってきましたし、雪の岩手でどこまでGR86を操れるか、挑戦するのが楽しみです。そしてラリーチャレンジは「誰もが挑戦できる」舞台なので、FRでも走る姿を見せることで、挑戦する気持ちを届けられればうれしいです。

 という意気込みはありますが、GRヤリスで出場になったらごめんなさい(笑)。

雪での開催が楽しみな岩手のラリチャレ

 佐々木選手のエントリーマシンがFRのGR86になるのか、4WDのGRヤリスになるのかは未定のようだが、2月の岩手県で期待できることは雪のスペシャルステージがありそうなところ。選手にとっても、そして観戦する観客にとっても厳しいステージとなりそうだが、日本で雪のラリーが見られるのは歓迎したい。

 また、ステージ設定もこれからとなるが、佐々木選手が語っているように小岩井農場での開催は魅力的。冬であれば、一般道でのスノードライブも楽しめるし、大規模スキー場もオープンしている。食事についても、焼き肉や冷麺など美味しいものもたくさんあるのが岩手県だ。

 2月開催ということしか発表されていないが、豊田章男会長は「ラリーは町おこし」と常々語っており、2月に岩手県を訪れる人も増えそうだ。達増知事の発表は、冬の岩手観光のきっかけとなるようなインパクトがある大きなものだった。

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