Diatreme Resources Ltd (出典:CSIRO)

オーストラリア産業・科学・資源省は7月3日、シリカ採掘と炭素回収・貯留(CCS)に関する2件の新規プロジェクトを主要プロジェクトに認定し、既存の再生可能エネルギーおよびコバルト開発事業の2件へ支援を継続すると発表した。

今回新たに認定されたのは、ブリスベン拠点のダイアトリーム・リソーシズ(Diatreme Resources)社の「ノーザン・シリカ・プロジェクト」と、日本企業の現地法人であるインペックス・ブローズE&Pオーストラリア(INPEX Browse E&P Australia)社の「ボナパルト炭素回収・貯留プロジェクト」の2件である。

前者は、太陽光パネルやシリコンウエハー、高性能電子機器の製造に不可欠な高純度シリカ砂を供給する。年間300万~500万トンの生産を25年間継続する計画で、120人の建設雇用と90人の継続雇用を創出する。後者は、ダーウィン北西沖250kmの海底に設置されるCCS設備で、金属精製や化学品製造などの脱炭素化が困難な産業への排出削減支援を目的とする。370人の建設雇用と40人の継続雇用が見込まれている。

再認定を受けたのは、オーストラリアに拠点を置くサンケーブル・ホールディングス(SunCable Holdings)社による「オーストラリア・アジア電力リンク」と、ニューサウスウェールズ州拠点のコバルト・ブルー・ホールディングス(Cobalt Blue Holdings)社の「ブロークンヒル・コバルト・プロジェクト」の2件である。

再エネ送電事業は、ノーザンテリトリー南部で最大6GWの太陽光発電を行い、ダーウィンや東南アジアへの送電を通じて地域の脱炭素化を後押しする。70年にわたる事業のうち最初の20年間で、ノーザンテリトリー経済に200億豪ドル超を投資し、建設段階で1750人超、稼働後は350人以上の雇用が生まれる見通しだ。

また、コバルト事業はニューサウスウェールズ州と西オーストラリア州をまたぐ一体型開発であり、年間約37万5000台分のEV用電池に必要なコバルト精製材を生産することで、オーストラリアの重要鉱物サプライチェーン強化を目指す。

これらのプロジェクトは、オーストラリアのクリーンエネルギー転換における大胆な前進を示すものであり、いずれも全国におけるイノベーション、雇用創出、持続可能な産業発展を支援するものである。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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