ツール・ド・フランス・ファム6日目、今大会最初の山岳ステージでマエヴァ・スキバン(UAEチームADQ)が圧巻の走りを披露。残り32kmからのアタックを成功させて独走勝利し、母国フランスに今大会初勝利をもたらした。曇り空の下、スタートを待つ選手たち photo:A.S.O.
アルプス山脈での山岳決戦を前に、ツール・ド・フランス・ファムは中央山塊で今大会最初の山岳ステージを迎える。クレルモン・フェランからアンベールに向かう123.7kmコースの中盤には、1級山岳ベアル峠(距離10.2km/平均5.6%)と2級山岳シャンセール峠(距離6.3km/平均5.5%)が立て続けに登場。しかしフィニッシュ地点は頂上ではなく、そこから下りと登り返しを経た29km先にある。
レースはマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を着用するエリーズ・シャベイ(スイス、FDJスエズ)がアクチュアルスタートと同時にアタックし、それをきっかけに20名の逃げグループが形成された。しかしコース前半に設定された2つの3級山岳で12名に絞られる。マイヨジョーヌを有するAGインシュランス・スーダルが先導するメイン集団は、逃げ集団に1分前後の差で追う、タイトなコントロールを見せた。
前日勝者で、マイヨジョーヌを取り戻したキンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュランス・スーダル) photo:CorVos
1級山岳ベアル峠に入るとマイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)のロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)がプロトンから遅れ、ランキング2位のマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)も脱落。頂上手前では、先頭通過の10ポイントを懸けてシャベイがシルケ・スムルデルス(オランダ、リブ・アルウラー・ジェイコ)とのスプリント争いを制し、山岳賞リードの拡大に成功した。
24秒遅れで頂上を通過し、下りに入ったプロトンからはセドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール)がアタックした。その動きに昨年の総合優勝者、カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)が反応。しかし後続がそれを許さず、続く2級山岳シャンセール峠で2名を引き戻す。さらに、残り33km地点でシャベイら先行していた逃げも吸収した。
終始プロトンをコントロールしたAGインシュランス・スーダル photo:A.S.O.
残り32.3kmで集団を飛び出したマエヴァ・スキバン(フランス、UAEチームADQ) photo:A.S.O.
そしてすべてが一つになった約30名の精鋭集団から、頂上まで3.2km、残り32.3kmでマエヴァ・スキバン(フランス、UAEチームADQ)がアタック。総合36位(9分33秒遅れ)と、総合争いから離れている23歳の動きに反応する選手はおらず、スキバンは1分6秒のリードを築き頂上を通過。下りを経て、登り返しの頂上に設定されたボーナススプリントでは、マイヨジョーヌを着るキンバリー・ルコート(モーリシャス、AGインシュランス・スーダル)が2番手で通過し、4秒のボーナスタイムを得ている。
独走に持ち込んだスキバンのスピードはその後も落ちることなく、追走集団ではAGインシュランス・スーダルのコントロールがライバルたちのアタックを抑え込む。残り3km地点でジュリエット・ラブース(フランス、FDJスエズ)が単独で飛び出したものの、スキバンを捉えるには至らなかった。
昨年の第7ステージでは区間2位に入り、勝利へと迫ったスキバン。平日にもかかわらず詰めかけた大観衆のいる最終ストレートを駆け、全身で勝利を喜びながらフィニッシュラインを越えた。
独走から母国フランスに勝利をもたらしたマエヴァ・スキバン(フランス、UAEチームADQ) photo:CorVos
勝利直後に涙を流したマエヴァ・スキバン(フランス、UAEチームADQ) photo:CorVos
「最高の瞬間。1分半のタイム差があると伝えられても、にわかに信じられなかった。ボーナススプリントの前に飛び出し、そこで形成されるであろう小集団に入るのが作戦だった。まさか独走勝利に繋がるなんて信じられない。(棄権者が続出して)チームに4名しか残っていないが、強いメンバーが揃っているので今日、何かできるのではないかと思った。特別な日になった」と、フランスに勝利をもたらしたスキバンはそう語った。
2位には1分9秒遅れでラブースが入り、3位を争う集団の先頭はルコートが取り、マイヨジョーヌの保持に成功している。
キャリアハイとなる勝利を収めたマエヴァ・スキバン(フランス、UAEチームADQ) photo:A.S.O.
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