関税や貿易政策に対する不透明感が、年後半にかけて欧州経済を停滞させる恐れがある中で、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、欧州債が魅力的なヘッジ手段となっていると指摘した。

  ピムコのエコノミストのニコラ・マイ氏とポートフォリオ・マネージャーのコンスタンチン・ベイト氏はリポートで、金利の低さに支えられている短期-中期債が好ましいと述べた。

  ピムコは、欧州連合(EU)が米国による15%の関税を受け入れたことを受け、域内経済が減速すると見込んでいる。関税措置に、貿易の先行き不透明感による企業投資の減少が重なれば、今後数四半期で成長率が1ポイント押し下げられる可能性がある。

  仮にそのような展開となった場合、ピムコは、欧州中央銀行(ECB)が政策金利をもう一段階引き下げ1.75%にする可能性があるとみている。

  マイ氏らは「経済の弱含み、賃金上昇の鈍化、通貨高といった要因で短期的なインフレリスクが下向きに傾いているとみており、成長の鈍化も予想される。それがECBにさらなる金融緩和の余地があるとの見通しにつながっている」と述べた。

  ECBが追加利下げを行うかどうかは、投資家にとって大きな関心事となっている。7月24日、ECB政策委員会は満場一致で政策金利の据え置きを決定し、ラガルド総裁は、利下げサイクルを一時停止する可能性があると示唆した。

  ドイツが国防やインフラ投資を拡大する中で、多額の国債発行が見込まれており、ECBも保有債券の縮小を進めていることから、ピムコは長期債の魅力は相対的に劣るとしている。

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原題:Pimco Likes European Bonds With Economy at Risk From Tariffs(抜粋)

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