地方創生 挑戦の一手に 富山で初「オクトーバーフェスト」あす開幕 仕掛け人 富山商議所・今川部長

オクトーバーフェストの会場となる県庁前公園東側=富山市内で

 本場ドイツのビールと料理が楽しめる「富山オクトーバーフェスト」が8月1〜11日、富山市の県庁前公園東側(NHK富山放送局跡地)で初めて開かれる。「ビールの祭典」をなぜ富山で−。イベント誘致の仕掛け人、富山商工会議所産業振興部の今川清司部長は新型コロナウイルス禍や能登半島地震からの復興支援とともに「市中心部に、もっとにぎわいを」と話す。 (聞き手・坂本正範)

 −開催の経緯は。

 15年前に東京に出張した際に偶然、フェストを見てカルチャーショックを受けた。会場のみんなが楽しんで、なんてすてきなイベントだろうと。いつか富山でやりたいと思い、10年ぐらい前に県内の企業に相談したが「地元の飲食店から『売り上げが落ちる』とクレームがくるだろう」などと言われてあきらめた。

 コロナ禍で、いろんなイベントが中止、延期、縮小され、コロナ禍が落ち着いても資金的なことを理由に8月にイベントがなくなった。何かやりたいと海外の祭りを考え、上司の専務理事に相談したら「ネガティブに考えてはダメ」、会頭も「やってみれば」と背中を押してくれた。

 −開催の目的、意義は。

 県内の人口が100万人を切ったこともあって、地方創生の一つとしてもとらえている。受け身でなく、こちらから発信し、挑戦したい。「地方都市で無理」と言われるなら、なおさら北陸新幹線で東京から2時間余りの富山県でやれることを示したい。

 市中心部の商店街に元気がなくなる中、北陸新幹線が開業し、路面電車が富山駅で南北接続して今は駅北地区が中心のようになっている。最初は会場をまちなかの富山城址(じょうし)公園で考えていた。県庁周辺なら県庁や富山市の職員、近辺の企業など人が集まるので、平日の売り上げがある程度見込める。

 協賛してくれる企業限定のお得なチケットを作って多くの企業を集めた。実行委員会に富山商工会議所青年部を入れた。知人やOBなど大勢の人を呼んでくれることに期待している。採算的には厳しいかもしれないが、頑張る。能登半島地震からの復興の思いも込める。一つやることで次の一手が出てくれば。

 −イベントの内容は。

 ビールは日本や富山初上陸や会場限定がある。音楽やダンスのほか、子ども向けにソフトドリンク、レストランにないような本格的なソーセージがある。ビールだけではない、家族でも友人でも楽しめる空間。夏休みなので帰省や観光客ら多くの人に来てほしい。

飲むなら公共交通

割安な切符を あいの風販売 あいの風とやま鉄道は、オクトーバーフェストに合わせて割安な切符を販売している。

 石動駅、福岡駅、魚津駅−越中宮崎駅間の各駅から富山駅までの往復運賃が千円になる。利用は8月1〜11日で、有効期間は1日間。同社有人駅(高岡やぶなみ、新富山口、東滑川、生地、西入善、越中宮崎を除く15駅)の窓口で購入できる。

【メモ】オクトーバーフェスト ドイツのバイエルン州ミュンヘン市で毎年秋に開かれる世界最大級のビールの祭典。1810年、市民が当時の皇太子の結婚式を祝ったのが始まり。現在、日本を含めて各地でイベントが開かれている。富山オクトーバーフェストは平日午後4〜9時、土日祝日午前11時〜午後9時。ドイツの楽団が毎日生演奏するほか、社会人ビッグバンドのステージ(3日)やボディビルダーの特別ステージ(8日)などがある。座席は1000席以上で、会場の約8割にテントを設けるなど暑さ対策を講じる。入場無料(飲食は有料)。富山商工会議所などがつくる実行委が主催。

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