ラトニック米商務長官は、米国と欧州連合(EU)の貿易協定を巡っては多くの問題にまだ議論の余地があるとし、「激しい駆け引きが行われることになる」との考えを示した。

  ラトニック氏は29日の経済専門局CNBCとのインタビューで、「欧州委員会の通商担当者らと話し合いを続けることが想定されるかと言うなら、その通りだ。今朝も話し合いのために彼らから電話があった。何について協議するかと言えば、デジタルサービス税や米テクノロジー企業への攻撃といったことが議題になる」と述べた。

Howard Lutnick

ラトニック米商務長官

Photographer: Brian Kaiser/Bloomberg

  「彼らが協議を望んでいる項目は他にもある。今回の協定に含まれなかった鉄鋼やアルミニウムなども議題に上るだろう」と続けた。

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  協定がまとまったことで、世界経済に深刻な打撃を与えかねない貿易戦争のリスクは低下したが、投資家や一部のEU首脳からは協定の条件や米欧関係の安定につながるのかを巡り、懸念の声が上がっている。

  EU高官によれば、EUと米国は週末に取り決めた要素に基づき8月1日までに法的拘束力のない共同声明の策定を目指す。声明がまとまれば、米国は特定セクターの関税引き下げを開始する。

  しかし、ラトニック氏の発言が示すように、現在50%の関税率が課されているEUの金属輸出など、多くの重要課題を巡って不透明感が残っている。当局者によれば、EU側は金属について、一定量の輸出に対する関税を引き下げる割当制度の導入を求めている。また、ワインや蒸留酒など一部製品を15%の関税対象から除外するかどうかについても協議されている。

  EUが今後3年間で7500億ドル(約111兆円)相当の米国産エネルギーを購入するという約束を本当に履行できるのかについても、懐疑的な見方が広がっている。EUによる米国からのエネルギー輸入額は昨年、800億ドルに満たなかった。

医薬品関税

  ラトニック氏はこの他、医薬品が米国内で生産されない場合、米国は「大規模な」関税を課す方針だと語った。

  トランプ大統領が医薬品政策を今後2週間以内に明らかにする予定だと、ラトニック氏は述べ、医薬品と自動車がEUとの貿易協定では鍵となったと続けた。

原題:Lutnick Says More ‘Horse Trading’ Ahead With EU on Pact Details、‘Massive’ Tariff If Pharmaceuticals Not Made in US, Lutnick Says(抜粋)

(第4段落以降を追加し、更新します)

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