カナダ銀行(中央銀行)は30日、予想通り政策金利を2.75%に据え置いた。5月撮影(2025年 ロイター/Blair Gable)
[オタワ 30日 ロイター] – カナダ銀行(中央銀行)は30日、予想通り政策金利を2.75%に据え置いた。据え置きは3会合連続。世界的な貿易戦争が激化するリスクは和らいだと指摘しつつも、カナダ経済がさらに弱含めば、インフレ上昇圧力が抑制されている限り、利下げを実施する可能性があるという認識を示した。
また、米国の貿易政策を巡る不確実性が高いことを踏まえ、2四半期連続でカナダ経済の詳細な見通しの公表を見送った。
マックレム総裁は「カナダ経済は現時点で一定の回復力を示している。インフレは目標の2%に近づいているが、基調的なインフレ圧力が存在する兆候を確認している」と述べた。
中銀は声明で「4月以降、深刻な世界的な貿易紛争がエスカレートするリスクは低減している」指摘。ただ「米国の貿易政策がどのように展開するか、依然として極めて不透明になっている」とした。
中銀は経済予測を公表する代わりに3つのシナリオを想定。
第1のシナリオでは、鉄鋼、アルミニウム、自動車のほか、北米の自由貿易協定の対象になっていない品目に対する既存の関税が維持されると想定。この場合、カナダの国内総生産(GDP)は今年第2・四半期に1.5%縮小し、下半期に1%増加した後、2027年に1.8%増加すると予想した。物価については、総合インフレ率は向こう2年間は2%近辺にとどまるとの見方を示した。
他の2つのシナリオでは、世界の関税が引き下げられた場合と、引き上げられた場合の影響を検証。マックレム総裁によると、関税が引き下げられれば成長見通しが改善し、インフレへの直接的なコスト圧力が軽減されるとし、関税が引き上げられれば経済が弱体化し、直接的なコスト圧力が増大する。
マックレム総裁は「関税の動向を注意深く監視し、基調的なインフレを示す指標を検証していく」とし、中銀はインフレを抑制しながら経済成長を支援していくと言及。「経済の弱体化でインフレに対する下押し圧力がかかり、貿易の混乱で物価上昇圧力が抑制されれば、政策金利の引き下げが必要になる可能性がある」と述べた。
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