EU格付け、米関税率上昇でも引き下げず=格付け会社

7月29日、 フィッチ・レーティングスなど複数の格付け会社は、米国が欧州連合(EU)に対する貿易関税率を大幅に上げても、EUの信用格付けをすぐには引き下げないと述べた。写真は米国とEUの旗。4月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

[ロンドン 29日 ロイター] – フィッチ・レーティングスなど複数の格付け会社は29日、米国が欧州連合(EU)に対する貿易関税率を大幅に上げても、EUの信用格付けをすぐには引き下げないと述べた。一方ムーディーズは輸出企業に影響が生じると警告した。

フィッチのソブリン信用格付け上級アナリストであるエド・パーカー氏は、米国がEUからの輸入品に課す基本関税率15%が、3月から想定していた水準と一致しており、経済見通しに実質的な修正を加えないと述べた。

欧州を拠点とする格付け会社スコープ・レーティングスやモーニングスターDBRSSも同様の見解を示している。スコープのソブリン信用格付け責任者のアルヴィーゼ・レンクユヌス氏は「経済的衝撃が蓄積している状況下で、今回の関税は発動された」と述べた。

ムーディーズは、米国へ製品を大量に輸出し、複雑なグローバルサプライチェーンに依存し、市場で価格決定力が限られる企業にとって、「信用に対する影響は重大になるだろう」と警告した。

こうした企業にはステランティス(STLAM.MI), opens new tabやフォルクスワーゲン (VOWG.DE), opens new tabなどの自動車メーカーが含まれ、ムーディーズは最近いずれも格付けを引き下げた。

シーメンスやABBなどの欧州の大手製造業は、米国の売上高が全体の約25%を占める。ただ、米国内の調達率が80%以上と高く、現地調達・現地生産の戦略を採っているため、少なくとも関税引き上げの一部を顧客に転嫁できる可能性がある。

半導体や医薬品などの主要品目は依然として不確実性が残る。アナリストは医薬品分野について、EUの輸出全体に占める対米輸出の比率が約25%を占めると見積もっている。

航空機部品の関税免除は、エアバス(AIR.PA), opens new tabやMTUエアロエンジンズ(MTXGn.DE), opens new tabに対する関税関連の圧力を和らげると見込まれ、ムーディーズは「航空宇宙・防衛分野を巡る前向きな見通しが強まる」と述べた。

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Marc Jones is a senior global markets correspondent based in London with a focus on economics, central banks, policymakers, and crises. Previously he worked in Frankfurt covering the European Central Bank at the height of the euro zone turmoil, the UK companies desk during the initial phase of global financial crash. He started his Reuters career on the sports desk covering everything from soccer to cycling.

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