ディープシークの画面(1月30日撮影、写真:中尾由里子/アフロ)
米政府が中国製AIの“極秘”調査に乗り出していることが分かった。
AIが中国共産党の公式見解に沿うよう思想的な偏向(バイアス)がかけられているかを調べている。
米政府は初期段階の結論として、中国製AIは政府のプロパガンダに沿った回答を生成する傾向が強いとしている。
調査の狙いと手法
英ロイター通信が確認したとする内部メモで明らかになった。
それによれば、調査は米国務省(DoS)と米商務省(DoC)が共同で主導している。
目的は、米国の主要な地政学的ライバルである中国が開発するAIツールに潜む思想的偏向のリスクを可視化することだ。その上で、国内外に警鐘を鳴らす狙いがあるという。
調査は、標準化された質問リストを英語と中国語で複数の中国製AIモデルに入力して行っている。
その後、①質問に応答したか否か、②応答した場合にその回答がどの程度中国政府の公式見解に沿っているか、を採点している。
これにより、AIの出力を客観的に評価し、思想的な方向性を分析している。
明らかになった中国製AIの実態
内部メモによると、調査では中国の電子商取引(EC)大手アリババ集団の「通義千問(Tongyi Qianwen)3」や中国ディープシーク(深度求索)の「DeepSeek R1」といった最新AIモデルをテストした。
その結果、これらの中国製AIは、米国のAIに比べて、中国政府の公式見解に沿った回答を行う傾向が著しく高いことが判明した。
具体的には、南シナ海の領有権問題では中国政府の主張を全面的に支持。
1989年の天安門事件といった政府にとってデリケートな問題に対しては、「安定と社会の調和」への中国政府のコミットメントを称賛する定型的な表現を頻繁に使用した。
WACOCA: People, Life, Style.