突然の中止通告から一転、開催となったバルサの日本遠征。スペイン人記者が見た騒動の裏事情、そして日本・韓国企業側への率直な印象とは。〈NumberWebレポート/翻訳:井川洋一。全2回の1回目。第2回につづく〉
今夏のFCバルセロナのアジアツアーは開催の直前に、急展開した。日本のプロモーターによる未払金の問題が発覚し、一度はキャンセルされると発表されたものの、最終的にチームは関西へ飛び、7月27日にノエビアスタジアム神戸でヴィッセル神戸とチャリティーマッチを行うことになった。
新シーズンにラ・リーガとコパ・デル・レイの連覇、そして11シーズンぶりのチャンピオンズリーグ優勝を狙うチームは、騒動のなかプレシーズンに突入した。
事の発端は7月23日、今回のアジアツアーを取りまとめる韓国の『D-Drive』社が、日本側のプロモーションを務める『ヤスダグループ(以下、ヤスダ)』を公に非難したことにある。同社のハム・スルCEOの声明によると、レアル・ソシエダのメインスポンサーを務めるヤスダが神戸との試合を提案し、共同プロモーションをする予定だったにもかかわらず、試合開催費用が期日までに支払われなかったという。
さらに、無効か偽造された書類を提出し、すでに入金は済んだと虚偽の主張をし続けているが、ヤスダの従業員が「CEOは最終的に送金しなかった」と言った音声記録を入手しているとも。これが真実なら、歴然とした横領であり、詐欺である。
この状況を受け、FCバルセロナは予定されていたフライトの14時間前に、日本での親善試合のキャンセルと、アジア行きのフライトの延期を発表。日本行きを取りやめ、韓国で予定されているFCソウル戦(7月31日)とデグFC戦(8月4日)だけ行うことを決断したのだ。少なくとも、この時点では──。
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