第107回全国高校野球選手権島根大会決勝   開星26―2松江南 ( 2025年7月25日    松江市営野球場 )

<松江南・開星>優勝した開星ナイン(撮影・千田 篤史)
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 第107回全国高校野球選手権大会(8月5日開幕、甲子園)の地方大会が25日、各地で行われた。島根大会では、開星が17年以来8年ぶりの聖地切符をつかんだ。

 開星打線が止まらない。昨夏全国8強の島根代表・大社のチャンステーマ「サウスポー」を完全コピーした応援歌が、ほぼエンドレスで流れ続ける。2回の12人攻撃による8得点を手始めに、島根大会決勝史上最多の26得点で8年ぶり11度目の夏。27安打は大会最多タイと記録的な猛打で、野々村直通監督が甲子園凱旋を決めた。

 「よく打ちましたけれども、私は何も指示してないんです」と白髪の指揮官は柔和な笑顔で質問に答えた。厳しい指導で知られる鬼監督は「前は“俺が甲子園に連れて行く”だったけれど、この年になって連れて行ってもらえる。甲子園がどんなところかなんて忘れていますよ。今さら照れくさいですね」と優しい表情で話した。

 野々村監督は20年3月に開星の指揮官として“再々登板”した。10年選抜で21世紀枠の向陽(和歌山)に敗れて「末代までの恥。切腹して死にたい」と話したことが物議を醸して指導を離れ、11年に再就任。その年の夏に出場したのを最後に退任し、学校も定年退職していた。

 「勝ち抜いたのは選手の力。主将を中心によくやっています。このチームは藤江のチーム。僕が言いたいことをズバズバ言ってくれる」。自慢の孫を紹介するように、指揮官は背番号10の藤江来斗主将(3年)への全幅の信頼を口にした。

 藤江は「プレーで引っ張れない分、声で引っ張ろうと。打者には逆方向に打つことを徹底させました」と26得点の一因を挙げた。実際に、7番の松本七斗(2年)は本塁打が出ればサイクル安打だったが、7回の右前適時打など逆方向を中心にチーム打撃を徹底して5安打8打点。「去年、大社が島根の学校でもベスト8に入れると教えてくれた。甲子園では大社旋風に負けない開星旋風を残します」と藤江の言葉は力強かった。 (千田 篤史)

 ○…1県1代表制以前の地方大会決勝の大量得点では1921年和歌山中39―0和歌山工、40年徳島商30―5徳島中、34年福島師範29―1平商、36年岐阜商29―1岐阜中、46年山形中29―5山形工などがある。

 ○…島根大会での26得点以上は、12年に益田東が浜田水産との1回戦で29得点を挙げて以来13年ぶり4度目。決勝では01年開星の21得点を上回る歴代最多となった。

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