ブラジルは米国が1週間後に発動を予定する50%の懲罰的関税を回避しようと奔走しているが高官レベルの交渉が停滞しており、米企業もトランプ大統領と対立を避けたがっていると政府関係者や業界関係者が語っている。写真はブラジルのルラ大統領、ブラジリアで9日撮影(2025年 ロイター/Adriano Machado)
[サンパウロ 25日 ロイター] – ブラジルは米国が1週間後に発動を予定する50%の懲罰的関税を回避しようと奔走しているが高官レベルの交渉が停滞しており、米企業もトランプ大統領と対立を避けたがっていると政府関係者や業界関係者が語っている。
トランプ大統領は1日から発動を予定する関税を、ブラジルのボルソナロ元大統領の扱いと関連づけている。ボルソナロ氏はルラ大統領の就任を阻止するためクーデターを企てたとして起訴されている。ルラ大統領はトランプ氏の関税の脅しを「受け入れがたい脅迫」と非難している。
この問題に詳しい外交官2人によると、新たな外交交渉は先月以降実施されておらず、ブラジル側が5月に送った対案に米国からの返答がないという。
ブラジルのアルキミン副大統領は24日、報道陣に対して、ルトニック米商務長官と19日に会談した際に、交渉する意思があると改めて伝えたと語った。
ただ、ブラジルは期限が迫るにつれて選択肢が限られつつある。
ルラ大統領は24日「彼(トランプ氏)が話したいなら電話をかけてくるだろう」と述べた。
ホワイトハウスはコメント要請にすぐに応じなかった。
ある外交官によると、米国がトランプ氏の盟友であるボルソナロ氏の起訴を懸念しているため、交渉が難航しており「大きな障害になっている」という。
トランプ氏は米国のブラジルに対する貿易収支が黒字であるにもかかわらず、7月9日に50%の関税発動を発表した。トランプ氏の関税の中でも世界的に最も高いうちに入り、中国の55%に近い水準だ。
アルキミン氏は米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)や米IT大手アルファベットなどの米企業18社と会合を持ち、米政府に交渉成立に向けて圧力をかけるよう要請した。
しかし、政府関係者や主要な産業団体であるブラジル産業連盟(CNI)のリカルド・アルバン会長によると、企業側は報復を恐れてトランプ氏と対立するのをためらっているという。
トランプ氏の関税はブラジル経済に深刻な影響を与える可能性がある。CNIは10万人以上の雇用が失われ、国内総生産(GDP)が0.2%押し下げられる可能性があると試算している。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab
WACOCA: People, Life, Style.