筆者は2022年に「ExTiX」をレビューした。当時、ExTiXを使えば「Deepin Linux」に伴う潜在的なセキュリティやプライバシーの懸念を回避しつつ、Deepinの洗練されたデスクトップ体験を享受できるのではないかと考えたからだ。
そして今回、「Deepin 25 Stable」をベースにしたExTiXの新バージョンが登場した。このリリースでは、「Windows 11」ユーザーならすぐに馴染めるようなレイアウトのデスクトップが採用されており、ユーザー体験は大幅に向上している。Deepinと異なり、煩わしい広告が表示されることもなく、予期せぬ再起動やクラッシュに悩まされる心配もない。
ExTiXに初めてログインすると、まるでMicrosoftのOSを使っているかのような錯覚に陥るだろう。しかし、これはWindowsではない。間違いなく「Linux」である。インストール作業はやや難しいかもしれないが、セットアップが完了すれば、他の多くのOSと同様に快適に使えるようになる。
さらに、ExTiXには「UOS AI」ツールも搭載されている。最初に「Embedding Plugins」をインストールすることで、UOS AIをローカルモデルとして無料で利用できるようになる。「Model Configuration」(モデル設定)画面を開くと、Embedding Pluginsのインストールを促すメッセージが表示される。
提供:Jack Wallen/ZDNET
Embedding Pluginsアプリを導入すると、「ULLM-1.5B」「ULLM-7B」「DeepSeek-R1-1.5B」といったローカルモデルを追加できる。筆者はDeepSeekを追加してUOS AIアプリの性能を試してみたが、結果は非常に素晴らしかった。ただし、ローカルAIを使用する場合は、システムに大きな負荷がかかる可能性があるため、ハードウェアの性能が十分であることを事前に確認しておく必要がある。
ExTiXには、「Deepin Browser」(Chromiumベース)や「Firefox」、そして「Mail」「Music」「Terminal」「Calendar」など、全てのDeepinアプリがプリインストールされている。ただし、オフィススイートだけは含まれていない。とはいえ、ユーザーは「App Store」を開いて必要なアプリを検索し、簡単にインストールできる。
アプリのインストールに関して言えば、Deepinには2種類のパッケージマネージャーのフロントエンドが用意されている。1つはデフォルトのDeepin App Store(Deepin Linuxと同じものと思われる)、もう1つは「Synaptic」だ。どちらも問題なく動作するが、システムアップデートはDeepin App Store内で処理されるため、基本的にはこちらを使うのが望ましい。
ExTiXには「Flatpak」や「Snap」といったユニバーサルパッケージマネージャーは標準では含まれていないが、どちらも「apt」パッケージマネージャーを使って簡単にインストールできる。以下のコマンドを実行すればよい。
sudo apt-get install snapd -y
sudo apt-get install flatpak -y
「Slack」や「Spotify」などのプロプライエタリーなアプリが必要な場合は、少なくともSnapを追加しておくことをおすすめする。
App Storeには「Linyaps App」というカテゴリーもあり、ここではDeepinの「linyaps」ユニバーサルパッケージマネージャー経由でインストール可能なさまざまなソフトウェアが紹介されている。アプリの数は限られており、試す価値のないものも多いが、生産性向上に役立つものや、楽しめるアプリが見つかる可能性もある。
ExTiXで特に印象的なのは、Deepinの標準アプリ群が非常に自然に統合されている点である。その完成度は「macOS」に匹敵するほどで、筆者がこれまで同様の印象を受けたLinuxディストリビューションは「elementary OS」だけだった。これはExTiXが特別な存在であることを示している。
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デスクトップのレイアウトについても、パネルやランチャー、クリック可能なアイコン、システムトレイなど、基本的な要素が全て「Windows 11」風にまとめられている。ただし、透明度やぼかし効果といった視覚的な演出は欠けている。「Settings」(設定)>「Personalization」(パーソナライゼーション)>「Opacity」(不透明度)からパネルの透明度を調整することは可能だが、この設定はパネルにしか適用されない。
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また、「Deepin Home」アイコンをクリックすると、「Deepin Welcome」アプリが起動する。このアプリはデザイン性と利便性に優れており、コミュニケーション、バグ報告、提案、リソース、ExTiX活用のためのリンクなど、さまざまなセクションが用意されている。
さらに、「Grand Search」というツールも搭載されている。理論上、このツールはファイル、フォルダー、ドキュメント、アプリケーション、設定、動画など、あらゆるものを検索できる。実際に使ってみると非常に優秀で、全てのLinuxディストリビューションにこのような機能が標準搭載されていればと感じるほどである。
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