中居正広

Keystone-SDA

スイスの主要報道機関が先週(1月20日~26日)伝えた日本関連のニュースから、①日銀、0.5%に追加利上げ②中居正広さん引退 揺れる日本のエンタメ業界、の2件を要約して紹介します。

このコンテンツが公開されたのは、

2025/01/27 11:55

ムートゥ朋子

翻訳・編集、週刊「日本のニュースinスイス」担当。得意分野は政治・経済金融。
東京出身。日本経済新聞政治部・経済部で官庁取材や日銀・金融市場を担当。2017年スイスインフォ入社。

筆者の記事について

日本語編集部

おすすめの記事

ニュースレター登録のロゴ

おすすめの記事

「スイスのメディアが報じた日本のニュース」ニュースレター登録

スイスの主要メディアが報じた日本関連ニュースを要約した記事を毎週月曜日に配信しています。ご登録いただいた方には記事配信と同時に全文をメールでお手元にお届けします。

もっと読む 「スイスのメディアが報じた日本のニュース」ニュースレター登録

日銀、0.5%に追加利上げ

日銀は23~24日に開いた金融政策決定会合で政策金利をこれまでの0.25%から0.5%に引き上げました。昨年7月以来の利上げの実施はほぼ予想通りで、スイスではさほど大きく取り上げられませんでしたが、ドイツ語圏の大手紙NZZや同経済紙フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフトが解説を掲載しました。

NZZは日銀のコミュニケーション手法に着目。会合の1週間前から、植田和男総裁や氷見野良三副総裁が利上げを示唆する講演を行っていました。これは前回の利上げが引き金となり、昨年8月5日に世界的な株価暴落が発生したことへの反省があると伝えています。

利上げには9人の政策委員のうち1人が反対していたことにも触れました。金利が上がりすぎれば住宅ローンの返済額が増えるため、賃金の上昇分消費ではなく返済に充てられるなど日銀のシナリオ通りに進まないリスクもあると言います。とはいえ、円安で輸入物価が押し上げられるなか日銀の選択肢は限られ、市場は今後も金利上昇が続くとの予想でほぼ一致していると伝えました。

フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフトは日本の政策金利がスイスと同じ水準に並んだことを紹介。ただし日本は利上げ、スイスは利下げに向かっていること、その背景に為替の動きがあると解説しました。

また日本の長期金利の上昇が「アジアの転換点」を示していると説明しています。不況に苦しむ中国では金利が低下傾向にあり、「日本の長期金利は今年、史上初めて中国の長期金利を上回る可能性がある」。ドナルド・トランプ米大統領の輸入関税方針の対象を免れていることは日銀にとって好材料ですが、これは急に潮目が変わる可能性があるとくぎを刺しました。(出典:NZZ外部リンク、フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフト外部リンク/ドイツ語)

中居正広さん引退 揺れる日本のエンタメ業界

人気タレントの中居正広さんが23日、スキャンダル発覚で引退を発表しました。スイスではドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーが「セックス疑惑:日本のテレビスターがキャリアを終える」との見出しでこれを伝えています。

「日本で最も有名なテレビパーソナリティの一人が、性的暴行疑惑のさなか、そのキャリアに終止符を打つことになった」。記事は中居さんをめぐるスキャンダルが「日本のエンターテインメント業界を震撼させ、多額の広告収入を稼いでいる放送局(フジテレビ)に損害を与えている」と総括しています。

記事は性的暴行が中居さん一人の問題ではないと位置づけています。故ジャニー喜多川氏による数百人の青少年への虐待や、フジテレビが中居さんの一件を把握していながら事件を公表していなかったことを指摘しました。(出典:ターゲス・アンツァイガー外部リンク/ドイツ語)

【スイスで報道されたその他のトピック】

話題になったスイスのニュース

先週、最も注目されたスイスのニュースは「スイスに感染症情報解析センター発足」(記事/日本語)でした。他に「ジュネーブで米国不在のイラン核協議、進展なく終了」(記事/日本語)、「米国、AI半導体輸出先リストからスイスを除外」(記事/英語)も良く読まれました。

意見交換

日本語を含む10言語に対応した意見交換ページで、世界の読者やswissinfo.chの記者と意見を交換しませんか?下のリンクからお気軽にご参加ください。

おすすめの記事

物価の上昇で家計のやり繰りはどう変わりましたか?

あなたの国で生活費は上がっていますか?何を節約していますか?

議論を表示する

ご意見やご感想、取り上げて欲しいテーマなどのご要望がありましたら、お気軽にこちらのメールアドレスまでお寄せください。

次回の「スイスで報じられた日本のニュース」は2月3日(月)に掲載予定です。

校閲:大野瑠衣子

このストーリーで紹介した記事

続きを読む

おすすめの記事

フェイクとファクトの狭間で国際メディアが果たすべき役割

このコンテンツが公開されたのは、

2025/01/20

2025年は多くのクエスチョンマークと不確実性に溢れています。その多くが米国のドナルド・トランプ大統領に関連しています。明らかなのは、国際的な情報空間はこれからも変わらないことです。

もっと読む フェイクとファクトの狭間で国際メディアが果たすべき役割

オピニオン

おすすめの記事

イランとの核協議、「圧力なければ時間の浪費に」

このコンテンツが公開されたのは、

2025/01/21

イランと英仏独の代表団は今月中旬、スイスの国際都市ジュネーブでこの問題を協議した。イランの人権問題に取り組むネダ・アマニ氏は、協議を時間稼ぎに使わせないため圧力が必要だと指摘する。

もっと読む イランとの核協議、「圧力なければ時間の浪費に」

テーブルを運ぶ飲食店スタッフ

おすすめの記事

スイス人を豊かにしたパンデミック

このコンテンツが公開されたのは、

2025/01/22

新型コロナウイルスの流行下でスイスの世帯は総額300億~400億フラン(約5.1兆~6.9兆円)を平時より多く貯蓄に回していた。

もっと読む スイス人を豊かにしたパンデミック

羊の頭とギロチン

おすすめの記事

スイスの「不幸な」ギロチン職人

このコンテンツが公開されたのは、

2025/01/22

チューリヒ州クローテンの家具職人だったヨハン・ビュへラー。1836年、チューリヒ州当局がギロチンの製作を委託したことから、彼の人生は一変する。

もっと読む スイスの「不幸な」ギロチン職人

タンカー港

おすすめの記事

温室効果ガスの「輸入量」を減らすには?

このコンテンツが公開されたのは、

2025/01/23

スイスは国内の二酸化炭素(CO₂)排出量だけを見れば世界トップレベルの優秀な低排出国だが、輸入による間接的な排出量を入れると世界のワーストグループに転落する。その背景を国際貿易の視点から分析した。

もっと読む 温室効果ガスの「輸入量」を減らすには?

スクリーンショット

おすすめの記事

swissinfo.chを知る~私たちの調査報道とそのインパクト 

このコンテンツが公開されたのは、

2025/01/23

SWI swissinfo.chのジャーナリストはどのように調査報道を行い、その記事がどのような影響を与えたのか。スイスがカザフスタンやウズベキスタンを介し、国際制裁下にあるロシア産の金を輸入していることを突き止めたSWI swissinfo.chの記者2人が、記事化に至るまでの背景を動画で説明します。

もっと読む swissinfo.chを知る~私たちの調査報道とそのインパクト 

コーヒー

おすすめの記事

チョコレートだけじゃない 児童労働が蔓延する産業

このコンテンツが公開されたのは、

2025/01/24

チョコレート業界は長い間、児童労働問題について厳しい目が向けられてきた。しかし、私たちが日頃飲んでいるコーヒーもまた、子どもの搾取と切っても切れない関係にある。

もっと読む チョコレートだけじゃない 児童労働が蔓延する産業

アート

おすすめの記事

オートマタ サント・クロワが守る機械仕掛けの芸術

このコンテンツが公開されたのは、

2025/01/25

スイス西部の小さな山村サント・クロワには、オートマタと呼ばれる機械仕掛けの芸術が今も残る。地元の職人たちは、数世紀の歴史を持つこの「動く芸術」を守り続けている。

もっと読む オートマタ サント・クロワが守る機械仕掛けの芸術

WACOCA: People, Life, Style.