2025ツール・ド・フランスもついに最終日の前日。毎年・毎回のグランツールで感じるのは思うのは、長いようで短いということ。今大会もいつのまにかもう終わりかという感じだ。
そしてこの第20ステージは逃げ屋にとって最後の日であり、大規模な逃げが予想されるステージだった。そんな第20ステージはピュアスプリンターのまさかの独走劇となった。
第20ステージのコース
コースプレビューと優勝予想は「50人以上の逃げ?今夜の2025ツール・ド・フランス第20ステージのコースプレビューと優勝予想」で。
レース展開ハイライトとレビュー
スタートから70km、ようやく逃げが決まる
今日は誰もが逃げたい日だったせいかなかなか逃げが決まらず、ようやく決定的な逃げが決まったのは70kmほど走ったあと。予想よりも少ない人数での逃げとなったがそれでも13人となった。
そこにはカーデン・グローブス、ジョルダン・ジュガット、マッテオ・トレンティン、マッテオ・ヨルゲンソン、2勝目となるかティム・ウェレンス、第18ステージで鬼の牽引でオスカル・オンレーを引き上げたフランク・ファン・デン・ブルークなどが入る。
珍しいことに13人で13チームの逃げとなる。
このうちジョルダン・ジュガットは総合順位が11位。4分弱の差で総合10位がベン・オコナー。なにかトラブルがあったり大逃げが容認されれば逆転でジュガットが逆転する可能性があるため、プロトンはベン・オコナーのチームメイトでスイスチャンピオン(TTとロードレースの二冠)のマウロ・シュミットが牽引する。
そのマウロ・シュミットは下りで激しい落車をしてしまったが、それにも負けずプロトンに復帰。
そして今日2つ目のカテゴリー山岳の4級山岳をプロトンが越えたところでタデイ・ポガチャルの今大会の山岳賞が最終的に確定となった。
残り60km、ハリー・スウェニーが独走スタートも・・・
124km地点の2級山岳ではEF Education-EasyPostのハリー・スウェニーとTotalEnergiesのジョルダン・ジュガットの二人が先行していたが、そこでスウェニーがペースアップ。これにジュガットがついていけず、スウェニーの独走が始まる。
しかしこのスウェニーも追走から逃げ切ることはできず156km地点から始まる4級山岳で追走に捕まる。
残り21kmで危険な落車!
残り21kmのカーブを先頭で入ったイヴァン・ロメオが雨に濡れた路面で落車。しかも路面を滑り落車の勢いのまま歩道との段差に衝突。ジャージもボロボロになり、擦過傷も多数。下手すれば小さな骨折もあり得るかもしれない。
残り16km、カーデン・グローブスがアタック!
イヴァン・ロメオの落車を回避できた3人、カーデン・グローブス、ジェイク・スチュワート、フランク・ファン・デン・ブルーク。その中から残り16kmでグローブスがアタック。
残された二人はこれを牽制しあってかスルー。このあとグローブスは快調に二人との差を広げていき、10kmで1分弱の差をつけることに成功し、ステージ優勝の可能性をぐっと引き寄せる。
ステージ優勝以外に気になるのは総合トップ10争い。10位のオスカル・オンレーベン・オコナーと11位のジョルダン・ジュガットとの闘いだ。
ジュガットはこのようにオスカル・オンレーベン・オコナーのいるプロトンから5分以上の差をつけ続ける。一方でオコナーはプロトンでこの表情。
ステージ優勝争いでは最後に追走からフランク・ファン・デン・ブルークがジェイク・スチュワートを置き去りにして飛び出すもののグローブスには届かず。
結局カーデン・グローブスがそのまま16kmを独走してステージ優勝。正直、グランツールでピュアスプリンターが16kmもの距離を独走してステージ優勝って記憶にない。かなり珍しいことだと思う。
グローブスはジロ・デ・イタリアでエーススプリンターを務め第6ステージで優勝。そして今年はこのツールでヤスペル・フィリプセンのための発射台として出場。またツール・ド・フランス自体彼にとって初出場だった。
チームはエーススプリンターのフィリプセンを早々に失うこととなり、さらにはマチュー・ファン・デル・プールも大会途中でリタイア。そのままだとチームの雰囲気は沈んだままになりそうなところ、最終日前日にグローブスがチームに明るいニュースをもたらした。チームとしては良い感じでツールを終えられそうだ。もちろん明日も勝てれば言うことなしだが。
🇨🇵 💛 #TDF2025 – Etapa 20 🏁
Apasionante jornada de media montaña en el corazón del macizo del Jura y donde, una vez más en este @LeTour, volvimos a meternos en fuga.
🤕 En el día de @ivanromeo_03 y con la lluvia también como protagonista. El piso mojado no tuvo piedad con el… pic.twitter.com/Qjly02cqOw
— Movistar Team (@Movistar_Team) July 26, 2025
なお落車したイヴァン・ロメオはひどい状態ではあるもののしっかり完走を果たした。グローブスと同じくツール・ド・フランス初出場でグランツールデビューでもあった。今夜から朝がつらいだろうが、最終日もできれば出走してツール完走を果たしてもらいたい。
最終日前日に総合10位と11位が入れ替わる
そして上述のようにJayco-AlUlaが、オスカル・オンレーベン・オコナーが総合10位キープを諦めたため、TotalEnergiesのジョルダン・ジュガットが逆転で総合10位に。彼にとってもチームにとっても大きな価値のある結果となった。最後まで諦めずトライし続けることの重要性を示した。
ポガチャルの4度目のツール総合優勝が実質確定
タデイ・ポガチャルは無事にこの第20ステージを完走し、実質的に2025ツール・ド・フランス総合優勝が確定。
(まだ最終日が残っているが)これで2020、2021、2024に続く4度目のツール・ド・フランス総合優勝となり、クリス・フルームに並んだ。
レース全体のハイライト動画
結果
ステージトップ10
1Kaden Groves Alpecin – Deceuninck1位との差2Frank van den Broek Team Picnic PostNL0:543Pascal Eenkhoorn Soudal Quick-Step0:594Simone Velasco XDS Astana Team1:045Romain Grégoire Groupama – FDJ,,6Jake Stewart Israel – Premier Tech,,7Jordan Jegat Team TotalEnergies,,8Tim Wellens UAE Team Emirates – XRG,,9Matteo Jorgenson Team Visma | Lease a Bike,,10Harry Sweeny EF Education – EasyPost,,
総合トップ10
1Tadej Pogačar UAE Team Emirates – XRG1位との差2Jonas Vingegaard Team Visma | Lease a Bike4:243Florian Lipowitz Red Bull – BORA – hansgrohe11:094Oscar Onley Team Picnic PostNL12:125Felix Gall Decathlon AG2R La Mondiale Team17:126Tobias Halland Johannessen Uno-X Mobility20:147Kévin Vauquelin Arkéa – B&B Hotels22:358Primož Roglič Red Bull – BORA – hansgrohe25:309Ben Healy EF Education – EasyPost28:0210Jordan Jegat Team TotalEnergies32:42
各賞1位
総合1位Tadej Pogačar(UAE Team Emirates – XRG)ポイント賞1位Jonathan Milan(Lidl-Trek)山岳賞1位Tadej Pogačar(UAE Team Emirates – XRG)新人賞1位Florian Lipowitz(Red Bull – BORA – hansgrohe)
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