サレプタ・セラピューティクスが開発したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の遺伝子治療薬「エレビジス」について、欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)は25日、有効との根拠が不十分であるとして、承認を見送った。米国での出荷停止をしたばかりのサレプタに対し、監視の目が一層厳しくなっている。

  サレプタの株価は25日午前のニューヨーク市場で一時14%安と急落した。EMAは、承認を拒否した理由として、125人の小児を対象とした臨床試験で、12カ月後の運動能力に有意な改善が見られなかったことを挙げた。

  エレビジスは、スイスの製薬大手ロシュ・ホールディングスが米国外で販売を担当し、欧州での承認を申請していた。不承認を受け、ロシュの株価もチューリッヒ市場で一時1.7%下落した。

  今年、エレビジスを投与された10代の患者2人が肝不全で死亡した。その後、類似の実験的治療薬を投与された患者も肝不全で死亡し、米国当局は歩行可能な患者へのエレビジスの使用停止を求めた。サレプタは当初、要請を拒否していたが、21日に出荷停止を受け入れた。ロシュも、米国食品医薬品局(FDA)を承認の基準とする国・地域での出荷を一時停止している。

  ロシュは25日、日本でのエレビジスの発売を見送ることも認めた。日本では、すでに販売承認を得ている。ローカルパートナーの中外製薬が、厚生労働省と協議の上で判断したという。当局は、エレビジスの安全性について調査を進めている。24日にはブラジルの保健当局も、米国での死亡事例を理由に使用の停止を発表した。

  サレプタにとってエレビジスは主力製品で、その成功が同社の将来を大きく左右する。同社の株価は、治療薬を巡る様々な打撃により、24日終値時点で年初から89%下落していた。

原題:Sarepta-Roche Gene Therapy Fails to Get EU Regulator’s Nod (1)(抜粋)

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