韓国の前大統領・尹錫悦氏と金建希夫人(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)
金建希(キム・ゴンヒ)前大統領夫人の各種疑惑を捜査中の特別検察官(特検)チームが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)本部である天正宮をはじめ、関連施設10カ所あまりを家宅捜索し、尹錫悦(ユン・ソンヨル)前政権と旧統一教会の癒着関係を暴くことに力を入れている。
特検チームの家宅捜索令状には、斡旋収賄容疑と横領容疑で韓鶴子総裁を被疑者として明記しているだけに、近く韓総裁に対する召喚もなされる見込みとなっている。
特検チームは検察官にとっての「ノアの箱舟」
大統領候補時代、「政治報復をしない」と公言していた李在明(イ・ジェミョン)氏だったが、大統領に就任して裁可した「第1号法案」は、尹錫悦前大統領と金建希夫人を狙い撃ちした3つの特別検事法だった。
まず、尹錫悦前大統領の非常戒厳令をめぐる内乱容疑に、外禍誘致(北朝鮮にドローンを送り北朝鮮の武力挑発を誘導したという論理)容疑を捜査対象とする「内乱特別検事法」、任務遂行中に殉職した海兵隊員事件を捜査する捜査団に圧力を行使して捜査を妨害した容疑を扱う「チェ上等兵特別検事法」、そして金建希夫人の各種疑惑について捜査する「金建希特別検事法」だ。
このうち金建希特検法はドイツ・モータース株価操作などの16個の疑惑を捜査するが、「捜査過程で認知されるすべての疑惑を捜査できる」という“風呂敷捜査”の原則を打ち出している。このような特検法によって発足した3つの特検チームには、派遣検事だけで120人に達する。
検事たちの間ではこの特検チームは「ノアの箱舟」と呼ばれているのだという。尹政権下で李在明氏の不正を捜査してきた検察に対して、現在の李在明政権は「検察庁廃止」の大方針を打ち出したが、特検チームに派遣されて功を立てるならば、この大量解雇の嵐の中で生き残ることができる可能性があるからだ。
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