フランスで開催中の第112回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月24日に南東部のヴィフからクールシュヴェルにあるカテゴリー超級のコル・ド・ラ・ロズ頂上までの171.5 kmで、アルプス山岳クイーンステージの第18ステージを競い、オーストラリアのベン・オコナー(チームジェイコ・アルウラー)が独走で逃げ切り、2021年に続いて2回目の区間優勝を成し遂げた。
 

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オコナーが今大会最高峰のコル・ド・ラ・ロズ頂上ゴールを制し、アンリ・デグランジュ賞も取った (©SprintCycling)

 
マイヨ・ジョーヌのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ・XRG/スロベニア)は、1分45秒遅れの区間2位になり、ボーナスタイムを獲得して総合のリードを更に広げた。彼のマイヨ・ジョーヌ着用日数は51日になり、フランスのジャック・アンクティルを抜いて単独歴代5位になった。区間3位は1分54秒遅れでデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(チームヴィスマ・リースアバイク)だった。
 

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ポガチャルのマイヨ・ジョーヌ着用日数は51日になり、アンクティルを抜いて単独歴代5位になった (photo : A.S.O./Aurélien Vialatte)

 
今大会最高峰にゴールするクイーンステージ

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リドル・トレックが中間スプリントまで集団を支配した (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
アルプス初日の第18ステージは162選手が出走。前日まで総合10位だったスペインのカルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアズ)とフランスのシリル・バルト(グルパマ・FDJ)がスタートしなかった。カテゴリー超級の峠を2カ所越え、標高2304mで今大会最高峰のコル・ド・ラ・ロズ頂上にゴールするクイーンステージは、終盤の雨と低温で更に過酷な闘いになった。

この日は23.7km地点に中間スプリントがあり、オフィシャルスタートからリドル・トレックが集団のペースを上げて逃げを許さず、その支配はマイヨ・ベールのジョナタン・ミラン(リドル・トレック)が先頭で中間スプリントを通過するまで続いた。その直後に逃げのアタックが始まり、最初のグランドン峠でスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)や、山岳賞総合2位でマイヨ・アポワを着ていたレニー・マルティネス(バーレーン ヴィクトリアス)が加わった大きな逃げ集団が形成され、そこにオコナーも加わっていた。

62.3km地点の頂上はマイヨ・アポワのマルティネスが先頭で通過したが、それが彼の限界だった。下りで逃げ集団からマッテオ・ジョーゲンソン(チームヴィスマ・リースアバイク)とテイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアズ)が抜け出したが、次のマドレーヌ峠の頂上まで残り11kmでログリッチ、オコナー、エイネル・ルビオ(モビスターチーム)らに追いつかれてしまった。

チームヴィスマ・リースアバイクが引くメイン集団は、まだゴールまで72km残っていたマドレーヌ峠の頂上まで残り5kmでヴィンゲゴーがアタックし、マイヨ・ジョーヌのポガチャルだけが付いていった。2人は先頭の逃げ集団に追いつき、マドレーヌ峠の頂上はヴィンゲゴーが先頭で通過した。その後方では、スペインのエンリク・マス(モビスターチーム)がレースを棄権した。

マドレーヌ峠を下り終え、ゴールまで残り41kmでオコナーがアタックし、ルビオとジョーゲンソンが付いていった。マイヨ・ジョーヌ集団では、マドレーヌ峠で遅れたマイヨ・ブランのフロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が残り38kmで追いついた後、4km先でアタックして先行した。英国のオスカー・オンリー(チームピクニック・ポストNL)やケヴィン・ヴォークラン(アルケア・B&Bホテルズ)も、ふもとでマイヨ・ジョーヌ集団に合流した。

オコナーが残り16kmでアタック

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今大会最高峰のコル・ド・ラ・ロズを上るオコナーとルビオ (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
26.4km続く最後のコル・ド・ラ・ロズの登坂が始まった時、逃げる3人はマイヨ・ジョーヌ集団に2分半のタイム差を付けていた。ゴールまで残り21kmでジョーゲンソンは後方へと下がり、先頭はオコナーとルビオの2人になった。オコナーは残り15.7kmでアタックし、独走を開始した。マイヨ・ブランのリポヴィッツはマイヨ・ジョーヌ集団に1分45秒差を付けてコル・ド・ラ・ロズを上り始めたが、残り7.7kmで追いつかれてしまった。

オコナーは2分近いタイム差を守ってそのまま逃げ切り、霧に包まれた最高峰で2回目の区間優勝を果たし、アンリ・デグランジュ賞も獲得した。その後方では、残り1kmのフラム・ルージュの手前でヴィンゲゴーがアタックし、マイヨ・ジョーヌのポガチャルとオンリーが付いていった。ポガチャルは残り500mでアタックし、ルビオを追い越して区間2位でゴールし、6秒のボーナスタイムを獲得した。9秒遅れてゴールしたヴィンゲゴーも区間3位で4秒のボーナスタイムを獲得したが、総合でポガチャルとのタイム差は4分26秒に開いてしまった。

この日、奇襲を仕掛けたリポヴィッツは結局3分37秒遅れの区間11位でゴールしたが、総合3位の座とマイヨ・ブランは守る事ができた。しかし、クイーンステージで善戦した総合4位のオンリーとのタイム差はたった22秒になってしまった。
 

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コル・ド・ラ・ロズでアタックしたヴィンゲゴーに付いていくマイヨ・ジョーヌのポガチャルとオコナー (©SprintCycling)

 
■独走で逃げ切って区間優勝したオコナーのコメント
「ツール・ド・フランスでまた勝てたのは特別だ。前回ティニュで勝った時は、完全に衝撃的だったが、今回はもっと楽しめた。今日はスーパーな一日だった。17日間苦しんだ後、やっと自分に戻る事ができた。今、膝が完全にねじれていて、本当に痛い。長引いていて、それはこのレースが終わるまで止まらないだろう。でも、やり遂げた。第10ステージでこの勝利を追いかけて、イェーツが勝った時はすごいフラストレーションだった。今日、この瞬間を持てたのはものすごく大きな意味がある。ツールでは常にもっと勝利を欲して、いくらあっても満足しないものなのさ」
 

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オコナーが16kmを独走して逃げ切り、2回目の区間優勝を果たした (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
■第18ステージ結果
[7月24日/ヴィフ~クールシュヴェル コル・ド・ラ・ロズ/171.5 km]
1. B. O’CONNOR (TEAM JAYCO ALULA / AUS) 05h 03′ 47”
2. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) + 01′ 45”
3. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 01′ 54”
4. O. ONLEY (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 01′ 58”
5. E. RUBIO REYES (MOVISTAR TEAM / COL) + 02′ 00”
6. F. GALL (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / AUT) + 02′ 25”
7. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 02′ 46”
8. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES XRG / GBR) + 03′ 03”
9. T. JOHANNESSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) + 03′ 09”
10. S. KUSS (TEAM VISMA | LEASE A BIKE/ USA) + 03′ 26”
11. F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) + 03′ 37”
12. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 04′ 34”

■第18ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) 66h 55′ 42”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 04′ 26”
3. F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) + 11′ 01”
4. O. ONLEY (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 11′ 23”
5. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 12′ 49”
6. F. GALL (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / AUT) + 15′ 36”
7. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 16′ 15”
8. T. JOHANNESSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) + 18′ 31”
9. B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) + 25′ 41”
10. B. O’CONNOR (TEAM JAYCO ALULA / AUS) + 29′ 19”

[各賞]
■ポイント賞:J. MILAN (LIDL-TREK / ITA)
■山岳賞:T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO)
(※第19ステージは J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) が着用)
■新人賞:F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER)
■チーム成績:TEAM VISMA | LEASE A BIKE (NED)
■敢闘賞:B. O’CONNOR (TEAM JAYCO ALULA / AUS)
 

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(photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
アルプス2日目は超級頂上ゴール

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●第19ステージのコースプロフィール (MAP : A.S.O.)

 
7月25日はフランス南東部サヴォア県のアルベールヴィルから、標高2052mでカテゴリー超級のラ・プラーニュ頂上までの129.9 kmで、アルプス2日目で最終日の第19ステージが行われる。コースは途中カテゴリー超級のプレ峠を含めた4カ所の峠を越える。ゴールのラ・プラーニュは全長19.1kmの坂で平均勾配は7.2%だ。
 

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(photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 

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