フランスで開催中の第112回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月23日に南東部のボレーヌからヴァランスまでの160.4kmで、平坦区間の第17ステージを競い、残り1kmの落車を免れた10人ほどの小集団によるゴールスプリントを、マイヨ・ベールを着たイタリアのジョナタン・ミラン(リドル・トレック)が制して今大会2勝目を上げた。
 

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落車を逃れた小集団のゴールスプリントをマイヨ・ベールのミランが制した (©SprintCycling)

 
区間2位はベルギーのヨルディ・メーウス(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、3位はデンマークのトビアスルンド・アンドレースン(チームピクニック・ポストNL)だった。総合首位はスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ・XRG)が守り、彼のマイヨ・ジョーヌ通算着用日数は50日になった。
 

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ポガチャルのマイヨ・ジョーヌ通算着用日数は50日になった (photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 
残り1kmで落車事故

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スタートしてすぐに4人が逃げ出した (photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 
プロヴァンス地方からアルプスへと向かう第17ステージは164選手が出走。オランダのダニー・ファンポッペル(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がスタートしなかった。オフィシャルスタートの合図と同時にアタックがかかり、ヨーナス・アブラハムセン(ウノエクス モビリティ)、ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(EFエデュケーション・イージーポスト)、カンタン・パシェ(グルパマ・FDJ)、マチュー・ビュルゴドー(トタルエネルジー)が逃げ出した。

しかし、スプリンターにとって区間優勝の最後のチャンスになるかもしれないステージだったため、リドル・トレックとスーダル・クイックステップが集団をコントロールし、タイム差は大きくならなかった。前半のカテゴリー4の峠では、スプリンターたちが集団から遅れる場面もあったが、残り77kmで追いつく事ができた。ゴールまで残り40kmを切った頃から、曇天から雨粒が落ち始めた。逃げはアブラハムセンが最後まで粘り続けたが、ゴールまで残り4kmで集団に吸収された。
 

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終盤は雨が降り出した (photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 
雨で路面が滑りやすくなる中、集団ゴールスプリントに向けて加速していた集団の前方では、残り1kmのフラム・ルージュで落車事故が発生し、ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ)が巻き込まれた。この日の区間優勝候補で、今大会区間3勝目を狙っていたヨーロッパチャンピオンのティム・メルリール(スーダル・クイックステップ/ベルギー)は、かろうじて落車に巻き込まれずに済んだが、足止めをくらって勝機を失ってしまった。

この落車の難を逃れた選手は10人ほどしかいなかったが、そこにマイヨ・ベールのミランが入っていた。彼がこのチャンスを逃す事はなかった。

■今大会2勝目を上げたミランのコメント
「本当に嬉しい。言葉では言い表せないほどだ。ボクは一人で生き残った訳ではない。チームメイトたちの助けで生き残ったんだから、それに感謝しなければならない。彼らが居なければ、ボクはまだ上りの1つに居るだろうし、ここにはいないよ。

彼らは毎日ボクを助けてくれる。そして今日は本当にタフなステージだった。我々は最初からコントロールして、もちろん他のチームの助けもあった。チームメイトたちはボクが(上りで)脱落した時に助けてくれて、2つ目の上りでは良いペースを作ってくれた。天候のせいで、終盤は厳しかった。彼らはボクを助け、サポートしてくれるから、これは本当に素晴らしい勝利だ。彼らには本当に心底感謝しなければならない」
 

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ポイント賞総合でミランは2位のポガチャルに72ポイントの差を付けている (photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 
■第17ステージ結果
[7月23日/ボレーヌ~ヴァランス/160.4 km]
1. J. MILAN (LIDL-TREK / ITA) 03h 25′ 30”
2. J. MEEUS (RED BULL – BORA – HANSGROHE / BEL)
3. T. LUND ANDRESEN (TEAM PICNIC POSTNL / DEN)
4. A. DE LIE (LOTTO / BEL)
5. D. BALLERINI (XDS ASTANA TEAM / ITA)
6. A. DAINESE (TUDOR PRO CYCLING TEAM / ITA)
7. P. PENHOET (GROUPAMA-FDJ / FRA)
8. Y. FEDOROV (XDS ASTANA TEAM / KAZ)
9. C. RUSSO (GROUPAMA-FDJ / FRA)
10. J. STUYVEN (LIDL-TREK / BEL)

■第17ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) 61h 50′ 16”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 04′ 15”
3. F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) + 09′ 03”
4. O. ONLEY (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 11′ 04′
5. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 11′ 42”
6. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 13′ 20”
7. F. GALL (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / AUT) + 14′ 50”
8. T. JOHANNESSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) + 17′ 01′
9. B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) + 17′ 52”
10. C. RODRIGUEZ (INEOS GRENADIERS / ESP) + 20′ 45”

[各賞]
■ポイント賞:J. MILAN (LIDL-TREK / ITA)
■山岳賞:T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO)
(※第18ステージは L. MARTINEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / FRA) が着用)
■新人賞:F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER)
■チーム成績:TEAM VISMA | LEASE A BIKE (NED)
■敢闘賞:Q. PACHER (GROUPAMA-FDJ / FRA)

アルプス初日は今大会最高峰の超級頂上ゴール

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●第18ステージのコースプロフィール (MAP : A.S.O.)

 
7月24日はフランス南東部イゼール県のヴィフをスタートし、サヴォア県のクールシュヴェルにあるカテゴリー超級のコル・ド・ラ・ロズ頂上にゴールする171.5 kmで、アルプス初日となる第18ステージが行われる。コースは途中標高1924mのグランドン峠と、標高2000mのマドレーヌ峠という2つのカテゴリー超級の峠を越える。

今回初めて東側の斜面がコースになるコル・ド・ラ・ロズは、標高2304mで今大会最高峰となり、アンリ・デグランジュ賞がかけられている。登坂は全長26.4kmで、平均勾配は6.5%だ。
 

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(photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 

◆ ツール・ド・フランス 公式サイト

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