政府が原子力発電を最大限活用していく方針を掲げる中、関西電力は、福井県の美浜原子力発電所の敷地内で、次世代型の原子炉への建て替えに向けて、地質調査などを再開することを正式に発表しました。
地質などの調査は、原発の新設に向けた最初のプロセスで、原発の新増設が実現すれば、2011年の東京電力福島第一原発の事故以降、初めてとなります。
美浜原発をめぐっては、2010年11月に老朽化した1号機の後継炉の設置に向け、候補地の地質や動植物などを調べる自主的な調査に乗り出しましたが、福島第一原発の事故で調査は中断し、2015年4月に1号機と2号機は廃炉となっています。
発表によりますと関西電力は、美浜原発の1号機の敷地内で次世代炉の建て替えに向け、発電所周辺の地質や地形などの調査を再開するということです。
調査は、機械を使って穴を掘り、地質の状況などを確認します。
政府が原発事故を受けて「可能な限り依存度を低減する」としていた原発の位置づけを見直し、ことし2月に閣議決定したエネルギー基本計画では、最大限活用していく方針を掲げ、既存の原発の敷地内での次世代炉への建て替えについても具体化を進めるとしていました。
一方、関西電力は、この調査の結果だけで建て替えを判断するものではないとしていますが、地質などの調査は、原発の新増設に向けた最初のプロセスで、原発の新増設が実現すれば、2011年の東京電力福島第一原発の事故のあと初めてとなります。
会社では、美浜町など地元の理解を得た上で、すみやかに調査の計画を決定したいとしています。
【関西電力 森望社長「運転開始時期は、調査結果踏まえ】
今後のスケジュールについて、関西電力の森望社長は「まずはわれわれが自主的な現地調査を実施するが、環境影響評価や設計を具体化して詳細にやっていくというステップを順番に踏んでいく。その調査にかかる時間は、年単位で、複数年、かかる見通しだ」と述べました。
その上で、「事業が成立するかどうかを判断して、そこから建設をしていくことになるので、どの時点で運転開始ができるのか、今の時点で申し上げることは難しい」と述べ、新しい原子炉の設置の判断や運転開始の時期については、現地調査の結果や環境影響評価などを踏まえ、見極めていく考えを示しました。
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