和邇の暮らしをつなぐ、地域の足「コミバス」
私たち「特定非営利活動(NPO)法人わにまちづくり協議会」は、滋賀県大津市の和邇(わに)地域で、住民の皆さんにとって欠かせない「コミバス(地域コミュニティバス)」を運行しています。
山と琵琶湖に挟まれた自然豊かなこの地域では、路線バスの減便や廃止が相次ぎ、さらに高齢化と坂の多い地形も重なり、移動手段の確保が深刻な課題となっています。そこで立ち上がったのが、地域住民による自発的な交通支援――それが、NPO法人わにまちづくり協議会が2020年に設立した「コミバス」です。
コミバス利用の方の多くが訪れる大津赤十字志賀病院
私たち「NPO法人わにまちづくり協議会」について
私たちは、滋賀県大津市・和邇地域を拠点に活動する特定非営利活動法人わにまちづくり協議会です。「誰もが安心して暮らせるまち」を目指して、地域の人々と力を合わせ、次のような事業に取り組んでいます。
*大津市からの委託によるコミュニティセンター運営
*地元の歴史を伝える妹子祭りの企画運営
*耕作放棄地を活用した農業再生「#いもとまちと」
*地域の空き家活用・対策活動
現在は8名の理事、バスのボランティア39名、コミュニティセンタースタッフ8名(複数の方が兼任)で運営しています。
そして今回、地域の足であるコミバスの未来を守るために、はじめてのクラウドファンディングに挑戦することを決めました。
山間集落の栗原の細い道も
琵琶湖のそばの細い道も
和邇は、琵琶湖と山にはさまれた自然豊かな地域ですが、近年は路線バスの減便・廃止が相次ぎ、地域の公共交通が危機にさらされています。特に坂の多いこの地域では、高齢者や移動が難しい方々にとって、「コミバス」は日々の暮らしを支える“命綱”のような存在です。
どなたでも気軽に利用できるようにコミバスは無料で利用できます。(運賃制にすると第2種免許が必要となりドライバーの確保が極めて困難となってしまうため、思い切って無料としています)運行にかかる費用は全て住民や地元企業からの寄付などで賄っています。
今回、いただいたご支援は、主に燃料費・修理費・車両購入積立金など、コミュニティバスの運行を継続するための費用として活用させていただきます。
まちの善意で走る地域の足「コミバスの風景」
コミバスは、地元のボランティアによる運転手と助手の2人体制で運行しています。
助手は乗り降りのサポートも行い、利用者に安心と温かさを届けています。車両はミニバンタイプで、集落の細い道や坂の多い住宅地でもスムーズに運行可能。現在は、JR和邇駅と大津赤十字志賀病院を結び、和邇学区内の4ルートを毎日2往復ずつ走行中です。
予約不要、どなたでも無料で乗れる「気軽な路線バス」として、毎月約1,000人が利用しています。
バスの乗り降りにはスタッフがお手伝いします。
利用者の声
🟡「普段の生活になくてはならない存在です」80代・女性
「車を運転できなくなり、夫が亡くなってからは病院も買い物も行けず困っていました。このバスがあるおかげで、本当に助かっています。設立当初から利用していて、今では生活に欠かせません。」
🟡「若いころは山登りが趣味。でも今は…」70代女性
「昔は歩くのが得意だったのに、今は登り道がきつくて…。買い物帰りはいつもコミバス。とても助かっています。」
🟡「バスに乗るのが楽しみなんです」90代・男性
運行開始からほぼ毎日コミバスを利用し、多い日はなんと1日4回も乗車することも。スタッフよりも乗っている回数は多いので、他のお客さんの降りる場所を「この人は春日東でおりるから」と教えてくれることも。目的は“移動”だけではなく、スタッフとのおしゃべりが何よりの楽しみの様子。よく忘れ物をされますが、明るく元気なおしゃべりでコミバススタッフの間ではすっかり親しまれています。
車内の楽しい会話もコミバスの醍醐味のひとつです
バスを支えるのは、地域の“無償の想い”
コミバスは、JR和邇駅から出発し、地域のスーパー「平和堂和邇店」や市役所の和邇支所、山間部の住宅地まで、多くの暮らしをつなぎます。平均利用者数は1日約50人。移動手段が限られる高齢の方にとっては、命のバスでもあります。普通のバスが通らない住宅地も通ります。
このコミバスを運行しているのは、地域の住民による完全無償のボランティアスタッフです。ドライバーと助手、あわせて39人。誰一人として報酬を得ているわけではなく、「地元のために何かできたら」という気持ちだけで、毎日交代しながらバスを走らせています。
前半と後半のチーム交代の時の一コマ
「このくらいのことなら私でも」助手・田中さん
4年目の助手、田中さんは、知人に声をかけられて参加するようになりました。
「このくらいのことなら私でもできるかな」と思って始めました。今ではお客さんとのおしゃべりが何よりの楽しみなんです。」バスに乗る人との交流は、日々のちょっとしたよろこびです。顔見知りが増え、スーパーで買い物をしていると「いつもありがとう!」と声をかけられることも。
「よく乗ってくれていた方がしばらく見えないと、やっぱり心配になります。久しぶりにお会いできた時には『どうしてたの?』って、話が弾むんですよ。」
また、田中さんはスマホのアラームをバスの時刻表に合わせて設定し、発車時間を間違えないように工夫したり。病院へのお客さんも多いので感染症対策として、マスクの着用や手指の消毒も引き続き丁寧に対応しています。
「安心して乗ってもらえるように、これからも続けていきたいです。」
降りる方にはステップを用意して楽に乗り降りできるようにお手伝いするのも助手のお仕事です。
「地元の足を守りたい」ドライバー・永田さん
ドライバーとして参加している永田さんは、コミバス設立当初から活動するメンバーの一人、5年目になります。地元の栗原地区では、高齢化が進み、免許を返納する方も増えています。
「自分の住んでいる地域だからこそ、力になれたらと思って参加しました。」普段は軽トラックを運転していますが、コミバスを運転するときは特に慎重です。
「お客さんを乗せているから、いつも以上に安全運転を意識しています。」また仕事での特技を活かしてコミバスの素適なワニのマークを描いてくれました。
バスの時刻表も手作りです。
ご支援の使い道と、目指す未来
しかし今、その運行が危機に直面しています
これまでコミバスは、地域住民の寄付とまちづくり協議会の支援によって運営を続けてきました。しかし近年、燃料費や物価の高騰により、運行資金が不足し、このままでは継続が困難な状況にあります。
目標金額:100万円
集めた資金の使い道:
今回、皆さまからいただいたご支援は、主に燃料費・修理費、車両購入積立金など、バスの運行に欠かせない経費に充てさせていただきます。
「いつでも、誰でも、予約なしで乗れるバス」があることで、高齢者の買い物や通院、ちょっとした外出が“当たり前”にできる日常になります。私たちは、この小さなバスが届ける”移動の自由”と“暮らしの安心”を、地域の力で守り続けたいのです。
お昼の最終便は平和堂の買い物帰りのお客さんでいつも満員です。
和邇の再生から生まれたサツマイモを、感謝を込めて
ご支援へのお礼としてお届けするのは、わにまちづくり協議会の耕作放棄地再生プロジェクト「#いもとまちと」で育てた無農薬のサツマイモです。地域の自然と人の手が育てた、やさしい味わいのサツマイモを、どうぞご賞味ください。不揃いのお芋ですがぜひ楽しみにしていてください。
最後に―あなたの力を、地域の未来に
今回の支援をもとにコミバスの運営を今後も持続可能なプロジェクトとして地域に根差したものに発展させていきます。
私たちの活動は、まだ小さな取り組みかもしれません。けれど、ここで暮らす人たちにとって、このバスはかけがえのない存在です。移動に困っている高齢の方、高台の上に暮らす方、バスに乗ることを楽しみにしている方――
その一人ひとりの生活を、これからも支え続けるために、どうか力を貸してください。
ご支援、心よりお待ちしております。
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