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どのクルマ、と名指しするのは避けたいのだが、4~5年くらい前から、ドイツ車の進化が止まっているのではないか? と感じることが増えていた。ちょうどドイツメーカーが各社とも電気自動車(EV)の開発に力を入れ始めたころで、その分、エンジン車の開発がややおろそかになっているように感じたのだ。
アウディの新型EV「Q6 e-tron」。ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)グループの新世代EVプラットフォーム「PPE」を最初に採用した車種だ
(写真:筆者)
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実際、そのころに出てくるドイツメーカーのエンジン車の新車は、プラットフォームを踏襲し、デザインも前世代からの進化分が少ないと感じる新型車が少なくなかった(もちろん例外もあったが)。一方で、力を入れて開発したはずのEVも、完成度の面でやや物足りないものが目立った。つまり、開発力がエンジン車とEVに分散してしまい、それまでのドイツ車ほど完成度を高められていないという印象を抱いたのだ。
新世代EVプラットフォームを採用
しかし、このところ試乗しているドイツ車はどれも完成度が高く、大げさに言えば「ドイツ車が再び覚醒した」と感じさせられることが増えた。今回試乗したドイツAudi(アウディ)の新型EV「Q6 e-tron」もその例に漏れない。Q6 e-tronは、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)グループの上級車種向けに開発された新世代EVプラットフォーム「PPE(Premium Platform Electric)」を最初に採用したEVで、その後に登場したVWグループ内のPorsche(ポルシェ)の2代目「Macan(マカン)」にもこのPPEが使われており、開発にもかなりポルシェが携わっているという。
VWグループの新世代EVプラットフォーム「PPE」
(写真:筆者が「IAA Mobility 2023」で撮影)
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