ドイツ銀行傘下で日本を拠点に投資銀行業務を手がけるドイツ証券は、事業強化に向け陣容を拡大する方針だ。同業務を統括する幹部2人を起用したほか、今後1年で新たに2桁の採用を目指す。

  ドイツ銀のアジア太平洋地域(APAC)の投資銀行統括部責任者、マヨーラン・エラリンガム氏はブルームバーグとのインタビューで、企業によるクロスボーダーの合併・買収(M&A)案件の増加などを背景に「日本では今、採用の大きなチャンスが訪れている」とし、今後1年で「2桁の人員増を目指す」と述べた。2025年は既に採用した人員も含めて9人を追加する計画だ。

  事業強化に伴いドイツ証は、投資銀行統括部の共同部長に黒見健治氏と稲葉税氏を起用した。2人は5月までに入社し、黒見氏はリテールや消費財、ヘルスケア業界を、稲葉氏はテクノロジー・メディア・通信(TMT)業界をそれぞれ統括しており、同共同部長と兼務する。両氏の任命は18日社内で発表されたという。

Deutsche Bank AG Headquarters as Earnings Miss Estimates

ドイツ銀行本社

Photographer: Alex Kraus/Bloomberg

  エラリンガム氏によれば、ドイツ銀は過去2年間、グローバルに人材を拡充しており、APACでは計50人を採用した。 

  ブルームバーグのデータによると、17日時点の今年の日本関連の合併・買収(M&A)の総額は1370億ドル(約20兆4000億円)と前年同期の2.7倍に急増している。こうした中、競合他社でも投資銀行部門の人材獲得が活発化している。

  シティグループ証券は今月、野村証券で執行役員グローバルM&A統括を務めた清田亮氏を採用。UBS証券は17日、投資銀行部門の人員を2024年末比で5割増やすと発表した。

  エラリンガム氏はまた、カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールによるセブン&アイ・ホールディングスへ買収提案撤回について、「われわれは市場が引き続き堅調に推移すると確信しており、日本のM&Aの強力な基調トレンドに影響を与えるものではない」との認識を示した。

(見出しを差し替え、第2段落に採用数に関する情報を追加して記事を更新します)

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