7月20日に投開票が行われる参議院選挙。
NHK水戸放送局では、「茨城選挙区 候補者の主張は」と題して、県内のさまざまな課題と候補者の訴える政策についてシリーズでお伝えしていきます。6回目は「東海第二原発」です。
(NHK水戸放送局 植田泰地記者 )

NHKプラスで配信 7/22(火) 午後7:00 まで

再稼働の見通し立たず

東海村にある首都圏唯一の原発、東海第二原発。

東日本大震災が起きた2011年3月、地震の揺れで原子炉が自動停止して以降、14年余り止まったままです。

再稼働を目指す日本原電は、2018年、自然災害の想定や事故対策の方針が規制基準に適合しているとして原子力規制委員会の審査に合格しました。

しかし、7年がたつ今も再稼働の見通しは立っていません。
理由の1つが安全対策工事です。

おととし(2023年)、建設中の防潮堤の基礎部分でコンクリートが均一に充てんされていなかったり鉄筋が変形していたりするなど、工事の不備が相次いで明らかになりました。

去年(2024年)、原子力規制庁から一部を建て直すことも含めて抜本的な設計の見直しを検討するよう求められた日本原電。

審査に合格して以降、3度目となる工事の完了時期の延期をすることになり、現在は来年(2026年)12月の完了を計画しています。


火災相次ぐ

また、東海第二原発では火災が相次いでいます。

ことし2月には中央制御室内の制御盤から炎や煙が出る火災があり、県と東海村から厳重注意を受けました。

その根本原因について日本原電は「社員の現場の危険に対する感受性が弱まったことも否めない」などと分析。
その後、再発防止に取り組んできましたが、5月にも原子炉建屋の地下でケーブルから火が出る火災が起きています。


避難計画も未整備

さらに東海第二原発については、国の広域避難計画がまだ策定されていません。

原発から30キロ圏内には全国で最も多い91万人余りが住んでいます。

深刻な事故が起きた場合の避難ルートや移動手段、避難場所などをどのように確保するかが大きな課題となっています。

この事故時の避難をめぐっては、4年前(2021年)、水戸地方裁判所が避難計画の不備を理由に再稼働を認めない判決を言い渡し現在、東京高等裁判所で審理が続いています。


エネルギー基本計画 最大限活用方針

ことし2月、日本の電力政策の骨格となる国のエネルギー基本計画が見直されました。

この中で2040年度の時点で発電量全体に占める各電源の割合について▽再生可能エネルギーは「4割から5割程度」、▽火力は「3割から4割程度」、▽原子力は「2割程度」になるとしています。

その原子力。
原発事故以降、盛り込まれてきた「可能な限り依存度を低減する」という文言はなくなり、再生可能エネルギーとともに最大限、活用していく方針が示されました。

営業運転開始から46年以上がたつ東海第二原発。
日本原電は安定したエネルギー供給のためにも、安全を最優先に自治体の理解を得た上で、再稼働が必要だとしています。


東海第二原発再稼働のスタンスとその理由

東海第二原発の再稼働に対するスタンスとその理由についてアンケートで尋ねました。届け出順にお伝えします。

参政党 桜井祥子氏 「賛成」
「現状ある原発の再稼働は電力安定供給のため進めるべきと考える。しかし、今後の新設は、より環境負荷が少なく安全性の高い次世代型原発(小型炉、核融合炉など)のみとする」

無所属 牧山康志氏 「どちらともいえない」
「経年変化、新基準、福島の事例、個別的なリスクなどに対応し再稼働も許容。基本的に主には再生可能エネルギーなどへ代替移行すべきだが原子力発電所は原子力領域の学問・技術の継続性に鑑み数基は国内に存続すべき」

日本改革党 石井憲一郎氏 「賛成」
「今後の国内電力供給能力を高めるために必要不可欠であると考えます、その為にも現状不手際が目立つ事に大変苛立ちをおぼえます」

日本維新の会 北崎瀬里奈氏 「どちらともいえない
「老朽化が進んでおり、地元理解を得ることが必要」

立憲民主党 小沼巧氏 「どちらともいえない」
「安易な二元論に陥ることは厳に慎むべき。実効性ある避難計画、地元の同意、廃棄物の最終処分が満たされない賛成論は不十分。また、雇用の公正な移行、電力の安定供給、立地地域の振興が満たされない反対論も不十分」

自民党 上月良祐氏 「賛成」
「ただし安全確保が最優先。新規制基準をクリアし、避難計画の策定後、関係自治体の理解を得ることが不可欠。エネルギーは国民生活の基盤である。再生可能エネルギー・火力・水力・原子力等のベストミックスが重要」

共産党 高橋誠一郎氏 「反対」
「東海第二原発は運転開始から46年が経過し、停止中の今も火災が頻発するなど施設の老朽化が深刻。事故が起これば国民の生命や財産、暮らしを奪うのが原発であり、再稼働は認められない」

NHK党 酒井明男氏 「どちらともいえない」
「築年数の老朽化と南海トラフ地震対策がなされれば再稼働するべき」

 


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