ロシアの戦時財政を支えているのは誰か(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・主任研究員)
就任後すぐにロシアとウクライナの戦争を終わらせると豪語していた米国のドナルド・トランプ大統領だが、全く成果を出せず、焦っているようだ。7月14日には、ロシアが50日以内に停戦に応じない場合、ロシア製品を輸入する国々に対して100%の追加関税を課す考えを明らかにした。いわゆる「二次制裁」のスキームを用いるようだ。
タリフマンと言われるトランプ大統領だが、一方でTACO(Trump Always Chickens Out)とも揶揄される。落としどころを探る意図があるとはいえ、とにかく内容があいまいなまま追加関税を乱発するトランプ大統領は、いわゆる「オオカミ少年」と化している。そのためだろう、市場も動じず、それが大統領の驕りを生む悪循環となっている。
二次制裁が発動されれば、ロシアの対外経済関係はさらに干上がる。ただしタリフマンは、あくまでそれをチラつかせてロシアと「ディール」をしたいわけで、制裁のスキームが実効力を伴うものなのかは定かでない。
一方、欧州連合(EU)は対ロ制裁を強化しており、中国も実利ベースでしか付き合わないため、ロシアが苦しい現状に変化はない。
繰り返しとなるが、米国は二次制裁の発動をチラつかせることで、ロシアの姿勢が変わることを期待している。しかし、この狙いとは裏腹に、ロシアの姿勢はむしろウクライナとの戦争の継続にシフトチェンジするのではないか。実際、米国に秋波を送り続けてきたロシアのウラジーミル・プーチン大統領だが、その路線を諦めたような節がある。
結局、トランプ大統領とその側近に自覚があるかどうかは別だが、米国による中途半端な仲介は、ロシアとウクライナの戦争をますます長引かせることになるかもしれない。
ここで改めて問われるべきは、ロシア財政の持続可能性だ。
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