日本銀行は今月開く金融政策決定会合で、コメを中心とした食料品価格の上昇を反映し、2025年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しの上方修正を検討する見込みだ。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。

  関係者によると、足元までの消費者物価の動向について、日銀はコメなどの食料品の価格が想定よりも上振れて推移しているとみている。中東情勢の緊迫化を背景に、原油価格も上昇しており、コアCPIの押し上げ要因になる。

  日銀は30、31日の会合で経済・物価情勢の展望(展望リポート)に関して議論し、最新の見通しを示す。5月1日公表の前回の展望リポートでは、コアCPI見通しを25年度は前年比2.2%上昇とした。関係者によると、トランプ米政権の関税政策を巡る日米交渉や、内外経済、金融市場の動向などを直前まで見極めて最終判断する。

  5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比3.7%上昇し、伸び率は23年1月以来の高水準となった。6カ月連続で3%台の伸びが続いており、日銀目標の2%を上回るのは38カ月連続となる。

  米関税政策の影響を巡る不確実性が大きい状況が続いているが、現段階で内外の経済・物価情勢に目立った変化は見られていないと関係者は指摘した。展望リポートにおける27年度までの見通し期間の後半に、基調的な物価上昇率が2%の物価安定目標と整合的な水準で推移するとのシナリオも維持する可能性が大きいという。

  一方、トランプ大統領は7日、日本からの輸入品に25%の関税を8月1日から賦課すると発表した。最終的な適用税率は今後の日米政府間による交渉次第だが、内外経済の下振れリスクなどに警戒が必要な情勢に変化はない。今月会合では政策金利を0.5%程度とする現行の金融政策は維持される見通しだ。

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