ミケランジェロの彫刻「キリストの復活」やレオナルド・ダ・ヴィンチのアトランティックコード、古代ローマ時代に作られたファルネーゼのアトラス像など、さまざまなイタリアの国宝が集結して連日長蛇の賑わいを見せている大阪・関西万博のイタリア館。そのパビリオンの中心で、観客を出迎える木製の没入型シアターに漂う香りもまた、イタリアの長い歴史と伝統を現代に伝える“イタリア文化”のひとつだ。
ルネサンス期の「理想都市」を現代的に再解釈
そんな同館のシアタールームで、香りの演出に協力しているのが「サンタ・マリア・ノヴェッラ(SANTA MARIA NOVELLA)」である。同ブランドの創業は1221年。日本では後鳥羽上皇と鎌倉幕府による承久の乱があった年だ。フィレンツェのドミニコ会の修道士が修道院の菜園でとれた薬草を用いて医薬品や塗り薬などの製造を始めたのがブランドのルーツで、世界最古の薬局としても知られる。
シアタールームで出迎える「サンタ・マリア・ノヴェッラ」の香り
大阪・関西万博イタリア館で漂う「サンタ・マリア・ノヴェッラ」の“ポプリ”
“ディフューザー ポプリ”(1万4300円)
“オーデコロン ポプリ”(50mL、1万5400円/100mL、2万2000円)
“キャンドル ポプリ”(1万3200円)
“ポプリボックス”(7700円)
シアタールームで使用している香りは、同ブランドでも最古の調合のひとつとして知られる“ポプリ”。その起源をたどると1743年の「殿下の鋳造所の秘密」という写本の中で、この香りが紹介されている。「サンタ・マリア・ノヴェッラ」のドミニコ会修道士たちが調合したもので、バラ、カーネーション、シナモン、アイリスの根などフィレンツェの丘で採れた植物を使い、インプルネータ産のテラコッタ壺で熟成し作り出されたと伝わる。当時から現在までこの調合は極秘となっており、ブランドの歴史を伝える香りとして、今もなお厳重に管理されている。
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