ブラジル大統領、報復辞さないと再表明 トランプ氏はいずれ協議の可能性示唆

ブラジルのルラ大統領は11日、トランプ米大統領が公表したブラジルに対する50%の関税が8月1日に発効すれば、同等の措置を取るとし、報復措置を辞さない考えを改めて表明した。リオデジャネイロで7日撮影(2025年 ロイター/Ricardo Moraes)

[ブラジリア 10日 ロイター] – ブラジルのルラ大統領は10日、トランプ米大統領がブラジルに50%の関税を課すと表明したことを受け、外交的な解決策を見つけたいとした上で、米国に対する一連の対抗措置を取る可能性があると述べた。

ルラ氏は地元メディアのインタビューで、最近議会で可決された貿易障壁に対する報復措置の権限を大統領に与える法律を引き合いに出し、「まずは交渉を試みるが、交渉できなければ、相互主義の法則が適用される」とし、「米国がブラジルに50%の関税を課す場合、ブラジルも米国に対し50%の関税を課す」と語った。

この法律により、ルラ氏は報復関税だけでなく、輸入や投資を制限したり、米国企業の知的財産権を停止したりするなどの措置を取ることもできる。

ルラ氏は、ブラジルのビジネスリーダーと委員会を立ち上げ、対米商業政策を「再考」すると述べた。

また、「世界貿易機関(WTO)に提訴することも、国際調査を提案することも、説明を求めることもできる」とも述べた。

ルラ氏はこれに先立ち、米国が示した関税措置への対応を協議するため閣議を招集。大統領首席補佐官事務所によると、政府は対応策を決定する作業部会を設置する。しかし関係筋の1人は、関税が実施されるまで、ルラ大統領が具体的な措置を発表するのは難しいとの見方を示した。

ブラジルのアダジ財務相は記者団に対し、「ブラジルはより緊密なパートナーシップと理解の深化に向けて、米国政府に常に対応してきた」と指摘。その上で「この状況が続くとは思わない」とし、トランプ大統領が表明した関税は「持続不可能」だとの見方を示した。

ブラジルの外交官は匿名を条件に、8月1日まで時間的猶予があり、「政治的対立がどう収束するかを見守る必要があり、それが経済的な対応も左右するだろう」と述べた。

トランプ大統領は9日、ルラ大統領に宛てた書簡で、8月1日からブラジルからの輸入品に対し50%の関税を課すと表明。4月に発表された10%から大幅に引き上げられる。ルラ大統領は相互主義で行動するとし、対抗姿勢を鮮明にした。 もっと見る

トランプ氏はブラジルで公判中のボルソナロ前大統領に対する支持を改めて示し、書簡の中で、ボルソナロ氏に対するブラジルの扱いと関税を関連付けた。

2022年大統領選での敗北を覆すためにクーデターを企てた罪に問われているボルソナロ氏は、10日夜のソーシャルメディアへの投稿で、関税を発表するトランプ氏の書簡を「責任感」を持って受け止めたと述べ、米政府を尊敬し称賛していると語った。

ボルソナロ氏は、米国の措置はブラジルが自由から遠ざかっていることへの反応だと主張。「私の政権下では、このようなことは決して起こらなかっただろう」と書き込んだ。

農業大国であるブラジルは米国にとり、コーヒー、オレンジジュース、砂糖、牛肉、エタノールなど主要輸出国であるため、50%の関税が課されれば、米国の食品価格に重大な影響を及ぼす可能性があるとの指摘がある。

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