佐賀新聞労働組合 佐賀市で市民対話集会

2025/07/12 19:30

生成AI時代のメディア環境について展望を語ったメディアコンサルタントの松浦シゲキさん=佐賀市のアバンセ

佐賀広告センターの吉岡龍昭企画制作部長(右)の報告を踏まえ、松浦シゲキさん(中央奥)と生成AIの適切な使い方を深掘りしたパネル討議=佐賀市のアバンセ

 生成人工知能(AI)をテーマにした佐賀新聞労働組合の市民対話集会が12日、佐賀市のアバンセであった。デジタルメディアの第一線で活躍してきたメディアコンサルタントの松浦シゲキさんが、AI時代のメディアの未来を「単なる情報ではなく、価値あるストーリーを伝えられるかが鍵」と展望した。

 松浦さんは短時間に大量の記事を生むAIの登場で「何でも取り扱う従来のマスメディアのモデルは限界を迎えている」と指摘。一方で「AIがアクセスできない現場の空気感や違和感、一次情報の価値が上がり、人ならではの奥深さをいかに生み出すかが期待されている」と強調した。

 AI時代で重要性が増す情報の価値についても語った。編集作業にAIを使ったとしても、伝わるかどうかは入力する情報の質や仕上げの一手間で決まるとし、「受け手にとって価値あるストーリーを伝えられるかが重要」と述べた。情報の受け手は、AIが提示する結果をうのみにせず「自分の求めているものかを判断できる『問いの力』が大事」と訴えた。

 後半のパネル討議では、生成AIを活用する佐賀広告センター(佐賀市)の吉岡龍昭企画制作部長も登壇。佐賀新聞が2024年8月に掲載した「AI佐賀新聞」内の広告など具体例を挙げ、AIの強みや特性を深掘りした。会場からは、AIを使った場合の説明責任や情報流出の危険性などについて質問が出た。(志垣直哉)

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