ロシア経済がいよいよ危ない?写真はプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 ロシア経済の雲行きが怪しくなっている。

 ロシアの6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は47.5と下落し、ウクライナ侵攻後の2022年3月以降で最も大きな下落となった。

 ロシアの製造業PMIは3月に48.2と急速に落ち込んだ後、5月に好不況の境目である50を上回ったが、再び急落した形だ。

 不調の原因は需要の低迷と通貨高による輸出の不振だ。

 ロシア経済は高金利に苦しめられている。背景にあるのは深刻な人手不足だ。

 ロシアの5月の失業率は2.2%と過去最低を更新した。ロシア中央銀行は失業率を景気過熱の主要指標とみなしており、政策金利は6月に約3年ぶりに21%から20%に引き下げられたものの、高止まったままだ。

 政策金利の高止まりはローン需要を減退させ、ローンによる購入が主体の住宅や自動車の需要を冷え込ませている。

 ロシアメディアは「自動車ローン残高が今年1月から5月までの期間に2分の1に減少した」と報じた。調査企業オートスタットによれば、今年1~5月の乗用車販売台数は前年比26%減となり、年間ベースでも大幅な落ち込みが確実視されている。

 住宅市場も同様だ。専門家は「今年の新築住宅需要は前年比15~30%減少する見通しだ」と分析している。

 ルーブル高も頭の痛い問題だ。

 今年に入り、対ドル・レートは上昇し続け、足元では1ドル=79ルーブル前後だ。

 ルーブル高の影響でロシアの輸出品は割高になっている。特に影響が出ているのが穀物の分野だ。

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