英国では年金基金による国債購入減少の影響で、公的債務の金利負担が220億ポンド(約4兆3800億円)急増し、持続可能な財政見通しが脅かされる恐れがある。

  予算責任局(OBR)は8日公表した財政リスクと持続可能性に関する報告書で、高齢化で医療・年金支出が増大し、気候変動および地政学的リスクも高まっており、公的債務負担が急増する危険があると警告した。

  年金基金は国債の需要を支える重要な買い手だったが、確定給付型年金から確定拠出型年金への移行に伴い、長期国債を保有し、長期運用する必要性が薄れたことも、大きな脅威だ。英国債の借り入れコストを押し上げ、外国人投資家への依存度が高まる可能性が高いとOBRは分析した。

  英国の公的債務が国内総生産(GDP)比100%近くに達し、1960年代初め以降経験のない財政悪化への懸念が深まる状況で、今回の警告が発せられた。行動を起こさなければ、債務残高は50年以内にGDP比270%を突破するとOBRは予想した。

  リーブス財務相が議会で涙ぐむ様子を見せ、交代観測が広がったことで、先週2日の金融市場で30年国債利回りが急上昇した。スターマー首相がリーブス氏の続投を明言し、交代観測を打ち消すと市場の動揺は沈静化したが、財政規律を重視するリーブス氏の退任後に規律が緩むリスクが警戒された。

  イングランド銀行(英中央銀行)も量的緩和(QE)で買い入れた英国債の保有圧縮に動いており、年金基金の運用構造の変化を受け、英政府は市場心理が不安定な時期に国債の購入を海外の投資家に依存せざるを得ない。

  OBRのヒューズ局長は、海外投資家は「不安定で気まぐれ」な傾向が強く、財政基盤がより広く持続不可能な状態にあると認識を示した。

原題:UK Debt Looks ‘Unsustainable’ as Pension Exodus Adds to Woes (2)(抜粋)

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