豪中銀が政策金利据え置き、利下げ予想の市場にサプライズ

 7月8日、オーストラリア準備銀行(中央銀行)は、政策金利を3.85%に据え置くと発表した。シドニーで2017年3月撮影(2025年 ロイター/David Gray)

[シドニー 8日 ロイター] – オーストラリア準備銀行(中央銀行)は8日、政策金利を3.85%に据え置くと発表した。利下げをほぼ確実視していた市場では、政策金利の最終到達水準が切り上がった。

中銀は理事会の過半数がインフレ鈍化を裏付けるさらなる情報を待つことを支持したと述べた。理事のうち6人が据え置きを支持し、3人が反対した。

コアインフレ率が中銀の目標レンジ(2─3%)の中間に鈍化し、個人消費も予想を下回る中、市場は3.60%への利下げをほぼ完全に織り込んでいた。

声明は「理事会はインフレ率が持続可能なベースで2.5%に達する軌道にあることを確認するため、もう少し情報を待つことができると判断した」と説明。「金融政策は国際情勢が豪州の経済活動やインフレに重大な影響を及ぼす場合、断固として対応することができる態勢にある」とした。

決定を受け、豪ドルは0.8%上昇し、0.6545米ドル。3年債先物は13ティック安の96.58となった。

次回8月12日の理事会での利下げ確率は85%となり、政策金利の最終到達水準は2.85%から3.10%に切り上がった。

中銀のブロック総裁は、理事会内の意見の相違はタイミングに関するものであり、第2・四半期の消費者物価指数(CPI)がおおむね予測通りであれば、金融緩和の道筋を維持するとし、月次CPIがいくぶん変動しやすいと強調した。

総裁は会見で「(第2・四半期のインフレ率が)われわれが考える通りになり、低下し続けるならば、われわれの金融緩和の道筋の正しさを証明するものとなる。それがわれわれの待っていたものだ」と述べた。

また、米国の関税については最悪の事態は回避されたが、以前の水準よりも関税は高いままだと指摘した。

チャーマーズ財務相は声明で、据え置き決定は市場が期待していた結果ではなかったとし、「今年2回利下げされたのは、インフレ面で実質的かつ持続的な進展があったからだ」と述べた。

オックスフォード・エコノミクスの経済調査責任者ハリー・マーフィー・クルーズ氏は、世界的な不確実性とインフレの「良い」材料からきょうは利下げしてもよいはずだったと指摘した。「確かに国内経済には強い部分があり、失業率は低い。だが、状況が悪化して不意を突かれるリスクを冒すよりも、潜在的な危機を前に経済の勢いが高まる方が望ましいと考える」と述べた。

中銀は2月と5月に利下げしたが、住宅価格が高止まりする中、消費は盛り上がらない。

5月のCPIは、コアインフレ率指標のトリム平均値が前年同月比2.4%上昇し、目標レンジの中間点である2.5%を下回った。

中銀は声明で5月のCPIについて、「第2・四半期全体のインフレ率がおおむね予想通りとなる可能性が高いことを示唆しているが、予想よりわずかに強かった」と指摘した。

キャピタル・エコノミクスのアジア太平洋経済責任者、マルセル・ティーリアント氏は「第2・四半期のインフレ統計が大きく上振れない限り、8月会合で利下げすると予想している。とはいえ、現在リスクは、今後12カ月間の利下げ幅が、われわれが予想している100ベーシスポイント(bp)より縮小する方向に傾いている」と述べた。

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