ドネツク州に侵攻してきたロシア軍を多連装ロケット砲で攻撃するウクライナ軍(6月3日、写真:AP/アフロ)

 2025年6月1日、ウクライナは入国したトレーラーからリモートで多数のFPVドローン(First Person View Drone=一人称視点ドローン)を飛翔させる「蜘蛛の巣作戦」で、ロシアの爆撃機基地を攻撃した。

 ロシアの爆撃機基地は過去にも自爆型ドローンにより攻撃を受けたことがあり、ウクライナの攻撃が及ばないところまで遠ざけていた中で発生した攻撃だった。

 ウクライナは、「Tu-22M」バックファイア、「Tu-95」ベア、「Tu-160」ブラックジャックの爆撃機や「A-50」早期警戒管制機、「IL-76」等輸送機・空中給油機など合計41機を破壊した。

 この攻撃の後、ロシアはウクライナからの再攻撃を避けるために、これまでよりもさらに遠い極東地域まで爆撃機等を避難させた。

 これだけの数量の爆撃機等が一瞬にして破壊されたことで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は怒り、報復すると言い放ち、その後、ウクライナへ大量のミサイル攻撃や無人機攻撃を実施している。

 今回は、ロシアの報復について以下の3点を考察する。

①どのような攻撃を行っているのか

②爆撃機を破壊された影響はあるのか

③ウクライナの次の作戦とは

1.ロシアによるミサイル攻撃の報復

 ウクライナの「蜘蛛の巣作戦」の後、ロシアはその報復としてウクライナ国内、特に首都キーウに対してミサイルと自爆型無人機で攻撃を実施した。6月の1か月間で約300発を撃ち込んだ。

 プーチン大統領の怒りが、その数の多さに現れているのは間違いない。

 6月以前の5か月間は各月とも150発以下であった。それが6月には、2倍の約300発まで増加した。

 ロシアの侵攻以来のミサイル発射数を見てみよう。

 2022年11月~2023年6月までの8か月間で、月間に300発を超えたのは5回、2023年12月~2024年8月までの9か月間で、300発あるいはそれ以上が5回であった。

 2024年1月は350発を超え、2024年3月は400発に達した。

 報復として攻撃した2025年の6月は、久しぶりに300発に達したわけだ。 だが、攻撃の多かった過去と比べれば、プーチン氏の怒りを反映しているにしては、それほどの数ではないことが分かる。

グラフ1 ロシアのミサイル攻撃数の推移(月間)

出典:ウクライナ軍参謀部日々発表資料を筆者がグラフにしたもの(グラフは以下同じ)

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