韓国ソウル市麻浦区の弘大地区で路上パフォーマンスをするアーティスト(資料写真、2022年11月31日、写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(韓光勲:ライター、社会学研究者)

 韓国へ移住する日本人が増加している。在韓日本人の数は1990年代半ばに1万人を超えた後にも増加し続け、2010年代前半に2万人を突破。現在、韓国には約2万7000人の日本人が住んでいる(2023年12月末現在)。

 1980年代までは男性が多かったが、1993年に男女比が逆転し、その後は女性の比率が高まっていった。特に2000年代前半からの「韓流ブーム」以降は女性が韓国に滞在するケースが飛躍的に増加し、現在は在韓日本人の約8割が女性である。

 その内訳は韓国人と結婚して移住した人、韓国での駐在員とその家族、学生など多様だ。居住地域はソウルなどの首都圏が3分の2を占める。近年は大学付属の語学学校で韓国語を学んだ後、ワーキングホリデー制度を利用したり、韓国の企業で働いたりする日本人が増加しているようだ。

韓国に好感を抱いていた人ばかりではなかった

 日本人の韓国移住について調査した『ライフスタイル移住の社会学――日本から韓国への生活転換の実証研究』(明石書店)が2025年6月に出版された。著者の今里基(はじめ)さんは立命館大学で2024年秋に博士号を取得後、現在は同大で専門研究員として研究を進めている。今里さんに出版までの経緯、調査の裏側を聞いた。

 今里さんは1989年福岡市生まれ。2013年に福岡大学法学部を卒業後、韓国・釜山にある東西大学校の大学院修士課程に進んだ。自身が大学付属の語学堂(語学学校)で学んだ経験から、韓国にいる日本人の存在に関心を持った。2016年4月に立命館大学大学院の博士課程に進むと、在韓日本人についての本格的な調査を開始した。

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