文化財「百段階段」へ向かうエレベーターの中は、美しい螺鈿細工が施されていて気分を盛り上げてくれる。

東京にあるホテルの中で、私の好きな場所のひとつが目黒にある「ホテル雅叙園東京」。ご存知のように、2025年9月30日を以て建物所有者との定期建物賃貸借契約が満了となるため、2025年10月1日より一時休館が発表されており、その前に「必ず行かねば!」と思っていました。そんな矢先にスタートしたのが、東京都指定有形文化財「百段階段」で開催される「和のあかり×百段階段」展。一足先に、プレス内覧会に参加してきました。

「漁樵の間」には青森ねぶた ねぶた師の北村春一の作品を展示。

「和のあかり×百段階段」展は、文化財「百段階段」の空間を背景に、ダイナミックかつ繊細な空間アートの世界を楽しむことができる人気の企画展。開催10回目となる今年は「鬼」をテーマに、6年ぶりの展示となる「青森ねぶた」をはじめ、照明、日本画、陶芸、伝統工芸、現代アートなど、総勢38名のアーティストによる作品が展示されています。階段を上るたびに現れる歴史的な空間にディスプレイされた展示物は、どれも幻想的で圧巻!

99段の階段を登った先にある「頂上の間」。

山口・柳井の柳井金魚ちょうちん祭り。

新潟県に本社を有する印刷を中心とした事業の企業「DI Palette」による「紙にしきごい」。繊細な切り絵加工でデザインされた色鮮やかな錦鯉が優雅に泳ぐ。

ビーズアーティストの金谷 美帆による『総ビーズ織り和衣裳 秋来』。制作期間に延べ3年を費やし、165万2,000粒のビーズを使用した重量約13kgの作品。

実は99段しかない、文化財「百段階段」

東京都指定有形文化財「百段階段」は、実は99段しかないことはご存知ですか? その理由は、諸説あるようです。

まずひとつ目は、昔から奇数は縁起のよい数とされてきたこと。例えば、日本の五節句として知られる1月7日(人日の節句)、3月3日(桃の節句)、5月5日(端午の節句)、7月7日(七夕)、9月9日「重陽の節句」など、奇数が重なっています。そういった縁起のよい奇数の中でこれ以上ない大きな数字を2つ重ねて99段とした説があるようです。

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