米国の製油業者は、メキシコやカナダなどからの重質油の供給減少に伴い、国内の主要シェール産地への依存をかつてなく強めている。
米政府の直近データによれば、米製油業者は現在、テキサス、ニューメキシコ、ノースダコタ各州のシェール油に大きく依存し、軽質油の処理比率が過去最高水準に達している。背景には、メキシコの原油減産やカナダとの貿易摩擦、ベネズエラ原油の事実上の輸入禁止措置などに起因する重質油の供給減がある。
一方で、米国のほか、ガイアナや北海で生産される軽質・低硫黄原油は世界市場に潤沢に供給されており、軽質油の重質油に対する価格プレミアムは縮小している。トランプ政権が引き起こした貿易戦争によりアジアにおける米国産原油需要が後退していることも、エクソンモービルやマラソン・ペトロリアム、バレロ・エナジーを含む米製油業者がシェール油を比較的安価で利用できる要因となっている。
                
軽質油と重質油の価格差は、1年前の1バレル当たり7.70ドルから現在は3.25ドル程度にまで縮小しており、製油業者が品質の高い軽質油を購入しやすくなっている。
米国内最大級の製油所の多くはここ数年、シェール油を最大限に利用できるよう設備投資を行ってきた。シェール油は地政学的リスクの影響を受けにくく、船で数週間かけて輸送される海外産原油と異なり、数日でパイプラインを通じて供給できるという強みがある。
昨年、米国でガソリンやディーゼル油の精製に使用された原油のうち、61%が国内産だった。今年もシェール油の価格が採算の取れる水準を維持すれば、この割合はさらに高まる見通しだ。
原題:US Refiners Rely on Shale More Than Ever as Heavy Oil Wanes (1)(抜粋)
 
						
			
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