イタリアといえば、しばしば古い時代が話題になる。だが戦後イタリアにも巨大な知性を備えた思想家がいる。哲人マッシモ・カッチャーリは、欧州がいかにして自らを「ヨーロッパ」と同定するようになったかの解読を試みる。しかも、中世・近代・現代を論じても大半は古典古代のテクストに準拠しているから、さすがにイタリア人と言いたくなる。

 1944年ヴェネツィア生まれの哲学者にして政治活動家でもある。近刊の『ヨーロッパの地理哲学』(上村忠男訳、講談社選書メチエ、2255円)では、長い歴史を通じて、もはや「ヨーロッパは没落を欲さざるをえない」ところまで来たと書く。



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