中国の電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)は、メキシコに大規模な工場を建設する計画を棚上げした。地政学的緊張に加え、トランプ米大統領の貿易政策による不確実性を理由に挙げた。
李柯(ステラ・リ)執行副社長は1日のインタビューで、BYDとして米州での事業拡大に引き続き関心はあるが、新たな投資に関する具体的な時期は決まっていないと語った。インタビューは、アジア以外で初となる工場を開設したブラジル・バイア州で行われた。
「地政学的な問題は自動車産業に大きな影響を与える」と李氏は述べ、「現在、各社が他国での戦略見直しを進めている。われわれとしては、状況がもう少し明確になってから判断を下したい」と語った。
BYDはメキシコで新工場の建設候補地として3カ所を検討していたが、昨年、米大統領選の結果を見極めるため積極的な調査を中断したと、ブルームバーグ・ニュースが昨年9月に報じていた。
米自動車メーカー各社は、関税措置で多額の追加コストが発生すると警告している。ゼネラル・モーターズ(GM)は先月、複数のピックアップトラックおよびスポーツタイプ多目的車(SUV)モデルの生産をメキシコの工場から米国に移管する計画に40億ドル(約5700億円)を投じると発表した。
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一方、李氏は、バイア州カマサリの工場開所式に合わせて取材に応じた。稼働開始後の同工場の生産能力は年間15万台になる見通しだが、約2年後に30万台に拡大する計画だ。
原題:BYD Indefinitely Delays Planned Mexico Plant Amid Trade War (1)(抜粋)
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