イングランド銀行(英中央銀行)は、今後1年間の英国債の縮小ペースを、現在の年間1000億ポンド(約19兆7000億円)から減らす可能性を検討している。長期国債に対する市場の需要に疑問が生じているためだという。ベイリー総裁が1日のCNBCのインタビューで明らかにした。
イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)が量的引き締め(QT)のペースを減速することを検討しているかと問われ、ベイリー氏は「現在進行中の決定事項」で、すべての選択肢が「検討対象となっている」と答えた。
また、最近のイールドカーブのスティープ化は、「今後1年の適切なプログラムをどう判断するかという意味で、当然ながら注視すべき事象だ」と述べた。長期債市場では「流動性の大幅な低下」が見られているという。
イングランド銀行は2022年から、8950億ポンドに達していた債券保有高の縮小を進めている。2025年10月からの1年間の方針については、今後数週間のうちに決定され、9月のMPCの際に正式発表される予定だ。
債券アナリストの間では、英国債ポートフォリオの縮小ペースが800億ポンド程度に減速されるとの見方がある。1000億ポンドの削減に200億ポンドの社債が含まれていた、QT開始初年度の水準に近い。
イングランド銀行は2009-21年、金融危機とパンデミック後の不況やデフレを防ぐために英国債の保有高を拡大した。現在は6000億ポンド強まで縮小しているが、金利リスクを抱える英国債の処分をさらに進めようとしている。
ただ、英30年債利回りが1998年以来の高水準に迫る一方、短期債利回りは低下するという状況により、QTの進行は複雑化している。
イングランド銀行は、QTによって英国債市場を混乱させ、政府の借入コストを押し上げていると批判されている。他の主要中央銀行と異なり、イングランド銀の場合は国債の満期償還を待つだけでなく、保有債券を積極的に売却することで、バランスシートを迅速に縮小している。
今年は、目標の1000億ポンド削減のために売却が必要だったのはわずか130億ポンドだが、2025〜26年には約500億ポンドの売却が必要となり、政府の国債発行計画との競合が懸念される。長期債の需要が低調な中では、流動性の問題を引き起こす可能性もある。イングランド銀は4月、市場への影響を避けるため、売却対象を短期債に切り替えた。
インフレ
インタビューでベイリー氏は、段階的な利下げの必要性を訴え、雇用市場の急速な悪化がインフレ抑制に繋がる兆候を注視しているとも語った。
ベイリー氏は、最近インフレ率が、イングランド銀行の目標とする2%を上回ったことについて、持続的なものではないとの見方を示した。賃金上昇は依然として懸念材料だが、賃金圧力の緩和や労働市場の全体的な緩みを指摘した。
同氏は「私にとって重要なのは、今見え始めている軟化傾向が今後も続き、インフレが目標に戻る環境が整うかどうかだ。金利の方向性は今後も下向きになると考えている」と語った。
ベイリー氏の発言は、労働党政権の増税やトランプ米大統領による貿易戦争を受けて、企業が雇用削減や賃金抑制、投資の先送りを進める中、イングランド銀行が8月にも利下げに動く可能性を示唆するものだ。市場では、8月に政策金利を0.25ポイント引き下げられ、4%になるとほぼ織り込まれている。
原題:BOE Governor Bailey Hints at Slowing Pace of QT Bond Sales(抜粋)

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