1年後に北中米W杯を控える中、サッカー日本代表の主力はどんな進路を取るのか? 各国番記者・情報筋がシーズン採点とともに“移籍の噂”の信憑性を本音で記す。〈翻訳・構成:井川洋一:NumberWebレポート/全2回。第2回、三笘編、久保編、遠藤編、守田編からつづく〉
同僚も「カマダはトッププレーヤーだ」
「自身のキャリアでもっとも難しいシーズンでした。でも……」
鎌田大地はFAカップ優勝後、トロフィーを掲げる自らの写真と共に、SNSに英語でそう綴った。クリスタル・パレス史上初のメジャータイトルの獲得に貢献した直後ながら、それが率直な感想だったようだ。
昨夏、ラツィオから南ロンドンを本拠とするクラブに加入し、バイエルン・ミュンヘンへ移籍したミカエル・オリーズの代役になることを期待されたが、イングランドのトップレベルへの適応に時間を要した。それでも、2022年にアイントラハト・フランクフルトで共にヨーロッパリーグを制したオリバー・グラスナー監督のもと、徐々に中盤で機能し始め、最後はパレスのサポーターに大きな喜びをもたらした。
ADVERTISEMENT
翌週には祝勝パレードが行われ、オープントップのバスの上でポップなハットとサングラスを着用し、仲間と戯れる鎌田の姿があった。現在28歳の日本代表MFが、パレスに居場所を見出しているのは間違いなさそうだ。
「彼はトッププレーヤーだ」
FAカップ準決勝後に鎌田を称えたのは、中盤でコンビを組むことが多かったアダム・ウォートンだ。
「以前から彼のことは知っていたよ。チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグといったトップレベルでも、違いを作ることができるタレントだね。ボールスキルが非常に高く、ポゼッションを円滑にし、無尽蔵のスタミナを持っている。パレスに来たばかりの頃は難しかったかもしれないけど、今は本来の彼の姿を披露しているよね」
移籍当初、不調のスケープゴートにされていた
しかし時計の針を9カ月ほど巻き戻すと、状況はまったく違った。
開幕から2連敗し、3つの引き分けを挟んでまたしても黒星を喫したエバートン戦(1-2)後、チームの不調のスケープゴートにされていた鎌田を、グラスナー監督は次のように庇った。
「我々はこのスクアッドを構成するすべての選手を信頼しているし、外野の意見は聞かない。芳しくない結果の責任をひとりの選手に負わせようとするのは、フェアではない」
あるいは鎌田のこの頃の不振は、前シーズンのラツィオでの苦しかった1年に起因するのかもしれない。
WACOCA: People, Life, Style.