ことでん=高松琴平電気鉄道が昨年度の決算を発表し、インバウンドや県立アリーナの開館による利用客の増加などで最終的な利益は3億3100万円となり、2年連続での黒字となりました。

ことでんは25日、高松市の本社で記者会見を開き、昨年度の決算を発表しました。

それによりますと、売り上げにあたる営業収益は、前年度の運賃値上げに加えて、インバウンドの増加、それに県立アリーナの開館に伴うイベントの開催などで利用者が増加し、前の年度より1億8000万円余り増えて37億3100万円となりました。

一方で、雇用の確保へ向けた初任給や賞与の増額で人件費は増えましたが、最終的な利益は3億3100万円となり、2年連続での黒字となりました。

ことでんの植田俊也社長は「非常によい決算の状況になっているが、もう少し資金を積み上げていくことが必要だ。今年度は高松市のサンポート周辺での増客を獲得して、沿線に客を送り込んでいけるようにしたい」と話しています。

【昨年度の鉄道利用状況】

一方、ことでんは、昨年度の鉄道の利用状況を発表しました。

それによりますと、100円の収入を得るために必要な費用を示す「営業係数」は、すべての路線での平均が前の年度より3円低い87円で、黒字につながるとされる100円を下回りました。

8つの区間別にみると、100円を下回ったのは4つの区間で、このうち最も低かったのは、▽高松築港駅から瓦町駅の間の39円で、▽次いで瓦町駅から一宮駅の間の58円でした。

逆に100円を上回ったのは4つの区間で、最も高かったのは、▽滝宮駅から琴電琴平駅の間の411円、次いで▽八栗駅から琴電志度駅の間の361円でした。

高松市中心部から離れるにつれ、売り上げに対する費用が大きくなっています。

また、1キロメートルあたり1日に平均で何人の乗客を運んだかを示す「輸送密度」は、▽琴平線が5798人で3億5800万円の黒字、▽長尾線が5201人で1億2100万円の黒字だった一方、▽志度線が3077人で8200万円の赤字でした。

植田俊也社長は、志度線の輸送密度の早期の改善は難しいとしたうえで、「志度線の沿線にあるスポーツ施設や、屋島など観光施設との連携を強化したい」と述べ、現在の利用状況より悪化させない考えを示しました。

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