ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.06.25 08:25

人工知能(AI)半導体の限界を乗り越える次世代技術競争が激しくなっている。最近半導体業界が注目する次世代ディスプレー技術のマイクロダイオード(LED)もそのうちのひとつだ。

ファウンドリー(半導体委託生産)世界1位のTSMCは4月、米国のスタートアップ、アビセナと技術協力パートナーシップを締結した。アビセナはマイクロLEDを光源に使い既存の電気信号ではない光子を通じてデータを伝送するシリコンフォトニクス技術を研究しているだ。SKハイニックスとサムスン電子もこの会社に投資した。

現在AI半導体のデータの通り道に当たる微細回路は主に銅線が使われている。電子が移動しデータを伝送するが、データ量が多くなるほど電子と銅線内部の金属原子との衝突が大きくなり、発熱と電力消費が増加する。AIモデルが発展するほどデータ伝送経路に「交通渋滞」が発生する。これを解決するため光ファイバーで光子が信号を伝えるシリコンフォトニクス技術が登場した。

現在光通信はレーザー光源を使うが、出力が強く長距離伝送に有利だが電力消費と製作コストの負担が大きい。これに対しAI半導体に必要な光通信連結距離は数センチメートルにすぎず、低電力・低コストのマイクロLEDを活用する技術が代案として浮上した。

TSMCがマイクロLED技術に注目しているという話を最も歓迎するのは台湾のディスプレー業界だ。市場調査会社トレンドフォースは10日、「台湾のディスプレー企業がマイクロLED技術を踏み台として既存のディスプレー技術を跳び超える『車線変更追い越し』を試みることができる」と分析した。現在の有機EL市場は韓国企業がリードしているが、マイクロLEDの技術力は台湾が優位にあると評価されている。

エヌビディアはTSMCとともに、下半期にシリコンフォトニクス技術を使ったデータセンター用ネットワーク装備を発売する。これに対しサムスン電子ファウンドリーは2027年からシリコンフォトニクス技術を適用する予定だ。2つの技術ともにレーザーを光源に使う。

専門家らは、韓国もシリコンフォトニクス技術力確保に出るべきと指摘する。UNIST電機電子工学科のクォン・ミンソク教授は「マイクロLEDチップの出力を考慮すると現在の技術水準では高速通信の実現は容易でない」としながらも、「米国や欧州より低い韓国のシリコンフォトニクス技術力確保が先行しなければならない」と話した。延世(ヨンセ)大学電機電子工学部のチェ・ウヨン教授は「ディスプレー分野でマイクロLED技術が成熟すれば半導体分野の応用もさらに容易になるだけに、先制的な技術確保が重要だ」と話した。

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