アジア時間23日朝の取引で、原油先物価格が急上昇した。米国がイランの主要な核施設を攻撃し、さらなる軍事行動も辞さない構えを示したことで中東情勢を巡る緊張が一層高まったことを受けた。中東地域からのエネルギー供給が途絶えるとの懸念が強まっている。

  グローバル指標である北海ブレント先物は一時5.7%上昇し、1バレル=81.40ドルを付けた。トランプ米大統領は週末の演説で、空爆により三つの標的を「壊滅させた」とし、イランが和平に応じなければ追加の軍事行動を取ると警告。これに対し、イラン側は今回の攻撃が「永続的な結果」を招くと警鐘を鳴らした。

  一方、米株価指数先物は下落した。S&P500種株価指数先物は一時約1%、ナスダック100指数先物は約1.3%下げた。また米国債先物は横ばい。米国によるイラン攻撃を受けた原油高と安全資産需要といった二つの材料に挟まれた形となった。安全資産への逃避を背景に金相場は一時0.8%高となった。

  今回の米国による攻撃は、フォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの3施設を標的としたもので、世界的なエネルギー市場に対するリスクプレミアムを一段と押し上げる結果となった。今後の値動きは、イランがどのように対応するかに大きく左右される。

  中東地域は世界の原油生産のおよそ3分の1を占めており、価格の高止まりが続けばインフレ圧力をさらに強める恐れがある。

  MSTマーキーのエネルギーアナリスト、サウル・カボニック氏は「イランがこれまで脅していた通りの対応を取れば、原油価格は1バレル=100ドルに向かう可能性がある」と指摘。「今回の米国の攻撃は、紛争の火種を広げる可能性がある」と述べた。

  最大の懸念はホルムズ海峡の封鎖だ。世界の原油供給の約5分の1が、ペルシャ湾の入り口に位置するこの狭い水路を通過している。

  イラン国営テレビによれば、イラン議会は同海峡の封鎖を求めているが、実行に移すには最高指導者ハメネイ師の明確な承認が必要とされる。

他の産油国への影響

  また、イランが報復措置として、サウジアラビアやイラク、アラブ首長国連邦(UAE)など他の中東産油国の石油インフラを狙う可能性もある。米国の攻撃を受け、サウジ、イラク両政府は核施設への攻撃に懸念を表明した。

  さらにイランは、アラビア半島の反対側にある紅海での船舶への攻撃を画策し、イエメンを拠点とする親イラン武装組織フーシ派による船舶攻撃を働きかける可能性もある。米国の攻撃後、フーシ派は報復を警告している。

  対立が激化すれば、イラン国内の原油生産能力が標的になる可能性もある。特に懸念されるのカーグ島にある重要な輸出拠点への攻撃だ。ただし、こうした動きは原油価格の急騰を招く恐れがあり、米国としても避けたいとみられる。現在のところ、カーグ島は攻撃を免れており、衛星画像からはイランが輸出加速を図っている様子がうかがえる。

原題:Oil Spikes as Trump’s Attack on Iran Ramps Up Risks to Supplies、US Stock Index Futures Drop After US Strikes on Iran Targets、Gold Rises as US Joining Attacks on Iran Spurs Flight to Safety、Treasury Futures Open Steady After US Strikes in Iran(抜粋)

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